街角の異変

写真怪談

頭上注意の空白

何もないはずの頭上に、なぜ「注意」が必要なのか。住宅街の細い路地で、人々がいつの間にか身につけていた、小さな習慣の話です。
写真怪談

傘の内側の白線

雨の繁華街で、路面と透明傘のあいだを、誰にも説明できない「白いもの」が移り始めた。
ウラシリ怪談

宛先のない約束

住宅街の分かれ道に立つ、赤い郵便ポストとカーブミラー。撤去が決まったそのポストには、宛名も切手もない手紙が残されていました。そして、誰もいないはずの交差点の鏡には、あるはずのない懐かしい光景が映り始めます。届かなかった約束をめぐる、静かで不思議な現代怪談。
写真怪談

ポストの後ろの家

川沿いの遊歩道と細い路地。その境目に立つ赤いポストの後ろには、普段なら家一軒が入る余地などない。けれど、川と光と郵便物の条件が揃った午後だけ、そこには古い玄関が現れるという。
写真怪談

橋の中の氷

川沿いの低い橋で、日なたの白い柱だけが濡れていた。冷凍配送トラックが通り過ぎたあとも、その冷たさは消えなかった。
写真怪談

三人乗りの空洞

雨上がりの公園で、三人乗りの赤い遊具に触れた作業員は、硬い座面の下から妙な力を感じた。壊れているようには見えない。けれど撤去して調べると、その異常は外からは決して触れられない場所に残っていた。
ウラシリ怪談

ガラスの中のごほうび

靴のにおいを追った犬が立ち止まったのは、探している人がいた場所ではなく、三脚の青い椅子だけが残る、誰もいないガラス張りの事務所でした。
写真怪談

空室のメーター

電気の流れる先は、もう存在しない。それでも夜になると、一台だけのメーターが、かつてそこに住んでいた人の生活を繰り返していた。
写真怪談

吸気口の向こう

停止しているはずの設備が、毎日同じように空気を吸っていた。その配管を切り離したとき、ようやく分かった。吸い込まれていたものは、空気だけではなかったらしい。
写真怪談

荷台から降りる影

真昼の住宅街で荷物を下ろしていただけなのに、開け放した荷台から「人のいない影」が少しずつ降りてきた。
晩酌怪談

シャッターが一枚多い

いつも吊られている提灯が落ちていた朝、閉じたシャッターには、昨日まで存在しなかった横線が一本増えていた。
写真怪談

袋に捨てた音

夜の公園で、分別箱の前に置かれた二つの白い袋には、重さでは説明できない妙な「静けさ」がまとわりついていた。
写真怪談

欄干に分かれる人

駅前の歩道橋には、手すり越しにしか見えないものがある――しかも、見るたびに少しずつこちら側へ近づいてくる。
写真怪談

消火栓の乾いた輪

雨上がりの夜、赤い消火栓の周囲だけが乾いている。その円の中へ入った作業員は、自分の身体から何が失われているのかを知ることになる。
写真怪談

零番回線

繁華街の古い雑居ビルへ、とうに切れたはずの一本の回線が、今も夜ごと「呼出し」を送り続けている。
写真怪談

家ではない側

廃屋だと思っていた建物を反対側から見たとき、そこには玄関も窓も、人の暮らしもあった――だが、その家には「人が物に見える側」が存在していた。
写真怪談

植木のほうが下

水平なはずの住宅街で、家の中の「下」だけが、窓の外に立つ一株の植木へ向き始める。
写真怪談

横へ落ちる道

魚や草花を描いた車止めが並ぶ静かな遊歩道で、落ちる方向だけが少しずつ狂い始めます。