写真怪談

欠損稜線

冬の夕焼けに浮かぶ富士山——その稜線が、写真の中でだけ静かに“欠け”はじめる。
写真怪談

交差影の結び目

深夜三時、杭よりも濃く伸びる影の“交差”を一度踏んでしまった――写真は、あとから数を増やしてくる。
ウラシリ怪談

喉を借りるペルソナ

「助手役を演じてください」――その一言が、“座るはずのない誰か”の席を用意してしまったそうです。
ウラシリ怪談

逆転しきれない影

1億5500万年の“逆転”を追う測定室で、反転しきれない横顔が窓の曇りに残ったそうです。
ウラシリ怪談

救助用ロープがほどけるまで

無人のはずの帰還カプセルが、初めての海上回収で“誰かの痕”だけを持ち帰ったそうです。
ウラシリ怪談

百目盛りの端面

57.6Tbpsが通った夜、端面に“百の睫毛”みたいな輪が残ったそうです。
写真怪談

赤い三角の病棟

病院の裏路地で見上げた窓に、赤い三角がひとつ増えた瞬間から、影の形が崩れはじめた。
写真怪談

欠席格子

日曜の朝、誰もいない校門で、ネットの一マスだけが“塞がって”いました。
写真怪談

暗層勤務表

明るい展望フロアの直下で、暗い窓だけが“勤務”を続けている理由を、あなたは見てしまいます。
写真怪談

影が戻る門

冬の放課後、正門前の木に止まるヒヨドリは、下校の列ではなく“放課後そのもの”を数えていた。
写真怪談

目地が増える

舗道の円い蓋のまわりだけ、苔が“縫い付けられた”ように増えていく──その写真が、いつの間にか更新されていた。
写真怪談

6番改札のICだけが消えない

終電後の改札で、6番だけが「IC」の灯りを残し、誰にも見えない“通過”を繰り返していました。
写真怪談

境界の窓

「乗務員室」の窓に浮かぶ白い文字が、いつから“こちら側”を見返すようになったのか。
ウラシリ怪談

未配達の行き先

手紙はポストに入ったのに、“届いたこと”だけが消えていく――未配達の行き先が、先にこちらへ届き始めました。
写真怪談

足を数える波紋

水路にいた二羽の鴨。そのうち一羽が潜った瞬間、水面の輪は“足の数”を数え始めた――。
写真怪談

角に置かれたまま

たった一つ、荷物棚の「角」にだけ、ぴたりと残された黒いバッグ——それは忘れ物ではなく、次の“反射”を待つ席だった。
写真怪談

まわり道→

工事で塞がれたいつもの裏道――「まわり道→」に従った先で、見慣れた街の“綻び”に気づいてしまう。
ウラシリ怪談

七日間の間口

駅のロッカーで“予約していない一冊”が七日間だけ混ざり続け、最後に白い封筒が残ったそうです。