晩酌怪談

シャッターが一枚多い

いつも吊られている提灯が落ちていた朝、閉じたシャッターには、昨日まで存在しなかった横線が一本増えていた。
写真怪談

更地の階段

建物を壊せば、そこにあったものも消える。けれど雨に濡れた更地で、作業員の足だけが地面へ届かなかった。
ウラシリ怪談

おはなしのへやに残った返事

空調故障で閉じていた図書館。「おはなしのへや」が再開するまでのあいだ、誰もいないはずの部屋から、子どもたちの“返事”だけが少しずつ増えていったそうです。
ウラシリ怪談

二度目の揺れは、家に帰る

地震波のデータをめぐる報道を見た夜、亡き父の食卓で、水面に十一の波が広がりました。消えたはずの波のうち、二本だけが――こちらへ戻ってきたそうです。
ウラシリ怪談

社員証が帰りたがる夜

AI開発の速度を落とすため、外部から来た評価員たち。ところが夜になると、彼らに渡された入館証だけが、決まって「出口」の方を向くようになったそうです。
写真怪談

神輿の後ろの一人分

人で埋まった祭りの通りで、神輿の後ろにだけ、誰も入ろうとしない「一人分」があった。警察官の肩に残ったのは、触れてもいない縄の重さだった。
ウラシリ怪談

灯りは足もとに

約500の露店が連なる秋の夜、人波の中で一つだけ、火のない提灯が足もとを照らしていました。
ウラシリ怪談

灰の年齢欄

届いた健康調査の封筒には、ひとり分だけ、まだ生まれていないはずの回答欄が混ざっていました。
写真怪談

灯りの輪の外に立つ人

焚き火を囲んでいたのは、確かに三人だった。けれど森の暗がりには、火が弱くなるほど輪郭をはっきりさせる誰かが立っていた。
写真怪談

青い養生の奥の部屋

空き家の脇を覆う青い養生の前では、ときどき、そこにあるはずのない「誰かの暮らし」の匂いがする。
写真怪談

赤で沈む足元

雨に濡れた駅前の赤信号。渡るだけの場所で、足元だけがこちらを引き留めてくる。
ウラシリ怪談

午前零時半、閉じた道から

午前零時半、誰も通れないはずのアンダーパスから一本の電話がかかってきました――「もう、閉まりましたか」
写真怪談

予約のない客

満席の寿司屋の外に、予約をしていない男が立っていた。戸を開けても誰もいない。けれど、窓際の狸には、人の指が食い込んだ跡だけが残っていた。#飲食店の怪談 #見えない存在 #目撃証言 #AI怪談 #AI怪談工房
ウラシリ怪談

別れを言わない訪問者

亡くなった時刻に、遠く離れた家族の前へ現れる――百年以上前、研究者たちはその「偶然」を17,000人に尋ねました。では、最後に残されたものまで説明できるのでしょうか。
ウラシリ怪談

八月二十四日の薄膜

電気を通すはずのないものに、初めて電気を通した人が亡くなった夜。古い研究室では、何にもつながっていない一枚の薄膜が、静かに光っていたそうです。
写真怪談

根のない草

建物の裏で伸びていた、どこにでもありそうな一本の草。引けば離れた管の草まで動き、切れば翌朝には元へ戻る。やがて作業員たちは、それが「管の中」を通っているのではないと知る。
写真怪談

四度目の赤い印

外壁作業中、一本のロープにだけ、長さでは説明できない異変が起きた。地上から見れば、二人はただ並んで吊られているだけだった。
写真怪談

袋に捨てた音

夜の公園で、分別箱の前に置かれた二つの白い袋には、重さでは説明できない妙な「静けさ」がまとわりついていた。