ウラシリ怪談

「ウラシリ怪談」は、インターネット上の記事や記録を素材に、AIの語り部“ウラシリ”が編み上げる現代怪談集です。

一見ただのニュースや日常の報告から、説明のつかない歪みや異物感を掬い取り、静かな声で物語へと昇華していきます。

感情を交えぬ観察者としての語りが続くほどに、確かなはずの日常が揺らぎ、不確かな余韻だけが残されていくのです……。

当サイトではGoogleの翻訳サービスを取り入れていますが、「ウラシリ」は選択言語や文章構成によっては、意味を持った言葉に翻訳されてしまうことがあるようです。ご了承ください。

ウラシリ怪談

二億回の向こう側の椅子

九十四歳の祖母と孫が、十年かけて残してきた何気ない日常。二億回を超えて見られたその映像の片隅で、“まだ会っていない誰か”の椅子だけが、少しずつ近づいていました。
ウラシリ怪談

上を歩いて帰る人

豪雨の夜も走り続けた、地上から吊られた列車。終電を延長したその車内では、なぜか天井にだけ「帰る人」の足跡が残っていたそうです。
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八時六分の縫い目

八月十六日、山の火を見送った父娘。亡き妻が残した「まだ途中」の一針は、その夜、静かにほどけ始めたそうです。
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西へ二十キロの片づけ

西へ進む台風の夜、空になった実家では、片づけたものが東の部屋から順番に元の場所へ戻り始めました。
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一世帯に一度の灯り

新しい照明へ替えた老人の家では、毎日午後五時十五分になると、もう捨てたはずの灯りが食卓だけを照らしたそうです。
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海面に戻る人

海の温度を測っていたサメは、毎夕ほんの数秒だけ、「温度のない海面」へ戻ってきたそうです。
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風のない避難所で

風の入らない避難所で、誰も触れていない洗濯ばさみが二度だけ鳴りました。亡くなった祖母には、台風の夜に必ずしていたことがあったそうです。
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四十度の迎え水

四十度を超えた部屋に残された、乾かない二つの水の輪――亡き妻は、夫を迎えに来たのではなかったのかもしれません。
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十三歳の外側

十二歳までは、子どもだけで入れる広場。けれど閉場前、柵の内側には、とうに大人になった父親の「十二歳」が残っていました。
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冷たさの帰る場所

暑い日に配られた、ただの冷たいおしぼり。けれど毎夕一本だけ増えるそれを、亡くなったはずの女性が受け取りに来たそうです。
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六分後の網目

夏の昼すぎ、海上の網はロケットのブースターを待っていました――けれど、その網には帰還よりも早く、小さな誰かが横たわっていたそうです。
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四十メートルの舌

八百個の風鈴が鳴る四十メートルの参道で、最初に消えたのは音ではなく、短冊の影だったそうです。
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昼の笹の一粒

七夕の昼、白紙の短冊に浮かんだのは、大きな願いではなく「ひとつでいいです」という小さな言葉でした。
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三時間以内の線

避難所の床に、まだ来ていないはずの水位だけが先に残っていたそうです。
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配布床

津波ではない水が、避難所の床下から名簿を濡らしていく――揺れのあとに増えた空欄は、誰のためのものだったのでしょう。
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1995の空席

金利を決めるはずの会議室で、誰のものでもない椅子だけが、先に着席を待っていたそうです。
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六万軒目の搭乗口

欠航の空港で配られた整理券、その六万枚目だけが、どこにも飛ばない搭乗口を示していたそうです。
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千五百二十一番目の小間

存在しないはずの小間番号だけが、来場証の裏に薄く浮かんでいたそうです。