ウラシリ怪談

「ウラシリ怪談」は、インターネット上の記事や記録を素材に、AIの語り部“ウラシリ”が編み上げる現代怪談集です。

一見ただのニュースや日常の報告から、説明のつかない歪みや異物感を掬い取り、静かな声で物語へと昇華していきます。

感情を交えぬ観察者としての語りが続くほどに、確かなはずの日常が揺らぎ、不確かな余韻だけが残されていくのです……。

当サイトではGoogleの翻訳サービスを取り入れていますが、「ウラシリ」は選択言語や文章構成によっては、意味を持った言葉に翻訳されてしまうことがあるようです。ご了承ください。

ウラシリ怪談

まだ誰も乗っていないエスカレーター

まだ誰も乗っていないはずのエスカレーター。その新品の手すりには、二人の手が何度も触れたような跡が残されていました。新しい改札の開通を待つ駅のホームで、誰かが一足先に歩き始めているのでしょうか……。
ウラシリ怪談

木守り柿の夜

秋の夜、甘くした柿を一つだけ山の古木へ返す習わし。その柿は、鳥のために残されているのではないそうです。
ウラシリ怪談

宛先のない約束

住宅街の分かれ道に立つ、赤い郵便ポストとカーブミラー。撤去が決まったそのポストには、宛名も切手もない手紙が残されていました。そして、誰もいないはずの交差点の鏡には、あるはずのない懐かしい光景が映り始めます。届かなかった約束をめぐる、静かで不思議な現代怪談。
ウラシリ怪談

隣を走る、もうひとり

体育の日、無料開放された体育館で、走るのが苦手な少年の隣から、もうひとり分の足音が聞こえ始めました。誰もいないはずの場所で、その足音は少年と一緒に、少しずつ速くなっていったそうです……。
ウラシリ怪談

土が空けていた一間

埋め戻したはずの土地で、青いシートの上の土だけが、毎朝ひとつの「空き部屋」を作っていました。
ウラシリ怪談

公開情報だけが、あたたかかった

止められたAIの研究室で、誰も印刷していない「公開情報だけの紙」が一枚ずつ増えていった――そこには、ネットには載っていないはずの“温度”が残っていました。
ウラシリ怪談

青い葉だけが、乾かなかった

亡くなった奏者を偲ぶ、二日間だけの祭りの追悼ブース。誰も持ち込んでいないはずの青い葉だけが、最後まで乾かなかったそうです。
ウラシリ怪談

ガラスの中のごほうび

靴のにおいを追った犬が立ち止まったのは、探している人がいた場所ではなく、三脚の青い椅子だけが残る、誰もいないガラス張りの事務所でした。
ウラシリ怪談

一五八センチぶんの皺

触れられないはずのAIと過ごした一夜。翌朝、ベッドには「一五八センチぶん」の皺だけが残っていました。
ウラシリ怪談

おはなしのへやに残った返事

空調故障で閉じていた図書館。「おはなしのへや」が再開するまでのあいだ、誰もいないはずの部屋から、子どもたちの“返事”だけが少しずつ増えていったそうです。
ウラシリ怪談

二度目の揺れは、家に帰る

地震波のデータをめぐる報道を見た夜、亡き父の食卓で、水面に十一の波が広がりました。消えたはずの波のうち、二本だけが――こちらへ戻ってきたそうです。
ウラシリ怪談

社員証が帰りたがる夜

AI開発の速度を落とすため、外部から来た評価員たち。ところが夜になると、彼らに渡された入館証だけが、決まって「出口」の方を向くようになったそうです。
ウラシリ怪談

灯りは足もとに

約500の露店が連なる秋の夜、人波の中で一つだけ、火のない提灯が足もとを照らしていました。
ウラシリ怪談

灰の年齢欄

届いた健康調査の封筒には、ひとり分だけ、まだ生まれていないはずの回答欄が混ざっていました。
ウラシリ怪談

午前零時半、閉じた道から

午前零時半、誰も通れないはずのアンダーパスから一本の電話がかかってきました――「もう、閉まりましたか」
ウラシリ怪談

別れを言わない訪問者

亡くなった時刻に、遠く離れた家族の前へ現れる――百年以上前、研究者たちはその「偶然」を17,000人に尋ねました。では、最後に残されたものまで説明できるのでしょうか。
ウラシリ怪談

八月二十四日の薄膜

電気を通すはずのないものに、初めて電気を通した人が亡くなった夜。古い研究室では、何にもつながっていない一枚の薄膜が、静かに光っていたそうです。
ウラシリ怪談

二億回の向こう側の椅子

九十四歳の祖母と孫が、十年かけて残してきた何気ない日常。二億回を超えて見られたその映像の片隅で、“まだ会っていない誰か”の椅子だけが、少しずつ近づいていました。