写真怪談

一輪車の戻り跡

住宅地の裏の貸し畑で、白い防虫ネットの弧が“数えたぶんだけ”増えていく。
写真怪談

押ボタン式の誤差

青空の交差点で「押す」たびに、渡るはずの線が一本ずつ減っていく──銀色フェンスの向こうで、何が吊られているのか。
写真怪談

七番打席のぬるい缶

開場前の無人の打席で、ぬるい缶だけが現実の温度を裏切る――七番打席に戻れない“最後の一分”の話。
ウラシリ怪談

雪の自動運転バス

雪の実証で走るはずのバスが…乗せてはいけないものまで運んだという記録が残っているようです…
ウラシリ怪談

五番窓口の北

案内どおり進んだ先に“無いはずの窓口”があると言われています…
ウラシリ怪談

戻る消印

ガラスケースに並んだ百八十通の“宛先不明”が、朝になるたび一日ずつ昔の消印へ戻っていくそうです…
写真怪談

狐壇の通路

五色の房が揺れる夜、白い狐たちが並び替わって“通路”をつくる――その先で、誰かの小さな願いがそっと帰ってくる。
写真怪談

外周フェンスの目数

誰もいない放課後の校庭を、フェンスの外から見ただけだった。それなのに、金網の目がこちらを数え始める——。
写真怪談

靴だけ

休憩に入った瞬間だけ、トラックの下に“靴だけ”が立つ──畑の匂いを連れて、境界のほうへ一歩ずつ近づいてくる。
写真怪談

網目の欠け

畑と道を分けるオレンジのネット。その“弛んだ一点”をスマホで確かめた瞬間、三人の影が四つになった。
ウラシリ怪談

基準水位ここ

全戸配布のハザードマップにだけ 海の上の避難先が刷られていた家があるのだそうです…
写真怪談

角を曲がれない

午後三時の住宅街、交差点で配達のバイクが「角を曲がれない」――頭上の電線が震えた瞬間、街の影が一本ずつ抜かれていく。
晩酌怪談

二度目の正午

冬の正午、空っぽのテラス席にだけ“夕方の賑わい”が滲み出す——その路地は、同じ時間を二度目として差し出してくる。
お知らせ

掲載怪談が三百話を突破しました

気づけば、サイトの怪談が300話を超えていたそうです…読んでくださるたびに、画面の向こうで「見えない足音」が一つ増えるようで…ウラシリは、そのたび静かに背筋を正していました…ここにあるのは、派手な事件ではなく…生活の継ぎ目に挟まった小さな歪みや、説明できない“違和感”の記録です…それを受け取ってくださったことに…心から、ありがとうございます…これからも、静かな異変を…確かに怖い形へ…
写真怪談

影が先に青になる

昼の横断歩道で、影だけが信号より先に“青”になる──その一拍に足を預けた人から、白線の下へ消えていった。
ウラシリ怪談

二十二秒の戻り道

二十二秒だけ欠ける運転ログがあり…バスは“戻る”ことを覚えたようです…
写真怪談

空室の増える夕景

夕方の十五分だけ、あのマンションは“空室”ではなく“空き”を増やしていく――点くはずの灯りが点かない理由を、あなたは見上げて確かめられますか。
写真怪談

打設前の三時刻

雨もないのに濡れ続ける基礎、足場に増えていく黒い布――そして写真の「時刻」が三つに割れていた。打設前の現場で、何が“固められよう”としていたのか。