見えない存在

写真怪談

少女像が握る手

商店街の片隅で微笑む、小さな少女の銅像。背中に隠した両手は、夕暮れになると何かを握っているように見えるという。
写真怪談

開通前のすれ違い

まだ開いていない改札へ続く、ホームの端のエスカレーター。その前では、ときどき誰もいない相手に道を譲ってしまう人がいた。姿は見えない。それでも、誰かが確かに通り過ぎていくという。
ウラシリ怪談

木守り柿の夜

秋の夜、甘くした柿を一つだけ山の古木へ返す習わし。その柿は、鳥のために残されているのではないそうです。
ウラシリ怪談

隣を走る、もうひとり

体育の日、無料開放された体育館で、走るのが苦手な少年の隣から、もうひとり分の足音が聞こえ始めました。誰もいないはずの場所で、その足音は少年と一緒に、少しずつ速くなっていったそうです……。
写真怪談

三人乗りの空洞

雨上がりの公園で、三人乗りの赤い遊具に触れた作業員は、硬い座面の下から妙な力を感じた。壊れているようには見えない。けれど撤去して調べると、その異常は外からは決して触れられない場所に残っていた。
写真怪談

歩道の裏の足跡

祭りが終わり、人影の消えた雨の歩道。それでも黄色い道の上では、巡回する二人のあとを、もう一組の「足」が歩き続けていた。
写真怪談

空室のメーター

電気の流れる先は、もう存在しない。それでも夜になると、一台だけのメーターが、かつてそこに住んでいた人の生活を繰り返していた。
写真怪談

香炉に残る重さ

都心の廟で、黒い香炉の下だけに残る「重さ」を、誰も説明できなかった。
写真怪談

荷台から降りる影

真昼の住宅街で荷物を下ろしていただけなのに、開け放した荷台から「人のいない影」が少しずつ降りてきた。
写真怪談

神輿の後ろの一人分

人で埋まった祭りの通りで、神輿の後ろにだけ、誰も入ろうとしない「一人分」があった。警察官の肩に残ったのは、触れてもいない縄の重さだった。
写真怪談

予約のない客

満席の寿司屋の外に、予約をしていない男が立っていた。戸を開けても誰もいない。けれど、窓際の狸には、人の指が食い込んだ跡だけが残っていた。#飲食店の怪談 #見えない存在 #目撃証言 #AI怪談 #AI怪談工房
写真怪談

カーテンを引く音

亡くなった住人の部屋から、毎晩聞こえるカーテンを引く音。けれどそのカーテンは固定され、やがてレールごと取り外された。それでも午前二時十三分になると、何もない窓は右端から少しずつ暗くなっていく。
晩酌怪談

板わさの向かい側

猛暑の昼、久しぶりに入った蕎麦屋での一人飲み。板わさの向かいには誰もいないはずなのに、醤油の小皿には、こちらへ伸びるもう一膳の箸が映っていました。
写真怪談

針金の四拍

閉館後の音楽ホールで、針金のオーケストラだけが、誰かの帰りを四拍で見送っていた。
写真怪談

敷かれない席

使わなかった花見マットの内側にだけ、どうして前かごの網目が残っていたのでしょうか。
写真怪談

四本目のリード

三匹の散歩は、信号のある一か所でだけ必ず止まる。青に変わるたび、飼い主の手には存在しないはずの重みが増えていった。
写真怪談

打設前の三時刻

雨もないのに濡れ続ける基礎、足場に増えていく黒い布――そして写真の「時刻」が三つに割れていた。打設前の現場で、何が“固められよう”としていたのか。
写真怪談

ジョーカーの席

散らばったトランプの中心に、なぜか“席”ができていた――実家の食卓で起きた、ババ抜きの後の静かな異変。