三人目の旅程

ウラシリ怪談

4月13日と14日の二日間だけ、旅行予約の画面に短いアンケートが出たそうです。千人分の回答を集めるためのもので、既婚者にだけ表示されると書かれていたといいます。質問は、家事や仕事から離れて夫婦で旅に出たいか、行くならどこがいいか、そんなありふれた内容でした。

その夫婦は、久しぶりに同じ答えを選んだそうです。北の土地を第一候補にして、次に南の島、古い都と続けたところまで、ほとんど同じだったといいます。最後の設問には「ゆっくり会話ができる」とあり、どちらもそこに印をつけたそうです。

4月22日の夜、二人は連休に合わせて、航空券と宿をまとめて取れる予約を済ませました。確認メールはすぐ届き、画面の上では確かに大人二名になっていたそうです。ところが、翌朝に紙で出した旅程表には、搭乗券が三枚あったといいます。二枚には夫婦の名前があり、残る一枚は名前の欄だけ白いまま、それでも席番号だけはきちんと印字されていたそうです。二人のちょうどあいだになる番号だったようです。

問い合わせをすると、先方の記録には二名しか残っていなかったそうです。印刷の乱れだろうという話になり、白い一枚は食器棚の引き出しにしまわれました。けれど、その晩から、夕食のあとにテーブルを拭くと、湯のみの輪が三つになるようになったといいます。洗っていない箸置きも一つだけ濡れていて、向かい合った二人の中間に、誰かの肘が触れていたような狭さが残ったそうです。

連休の初日、二人はそのまま北へ向かいました。空港の自動改札には二枚しか通していないのに、通過音が三度鳴ったそうです。機内では二人の間の空席に誰も座っていないのに、飲み物のトレーだけが一つ余り、客室乗務員は不思議そうに「真ん中の方はお休みですか」と聞いたといいます。二人とも返事ができなかったそうです。

宿でも同じことが続きました。洗面台には歯ブラシが三本並び、窓際には乾いていない足跡がひとつぶんだけ残ったそうです。記念に撮った写真は、撮った直後には普通なのに、時間が経つほど二人の肩の間が少しずつ広がっていき、最後には誰かが立てるだけの隙間ができたといいます。その隙間だけは、背景の景色が見えなかったそうです。

帰ってから、引き出しにしまったはずの白い搭乗券がなくなっていました。代わりに、最初のアンケート通知だけが毎年同じ時刻に届くようになったそうです。4月13日と14日、夜の同じ分に、一字一句違わない文面で……「今年も、夫婦でゆっくり会話ができそうですか」と。

その夫婦は、今でも食卓で長く話し込まないそうです。話が弾んで、ふと沈黙が落ちた瞬間だけ、向かいのガラスに三人目の口元が映るからだと……そんな話を聞きました。

この怪談は、以下の記事をきっかけに生成されたフィクションです。

〖エアトリ調べ〗4月22日「よい夫婦の日」に関する実態調査旅行意欲のある既婚男女の約9割が「旅行は夫婦関係に良い変化をもたらす」と回答!~夫婦でGWに行きたい旅行先トップ3は「北海道・沖縄・京都」~

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