奇妙な音

写真怪談

袋に捨てた音

夜の公園で、分別箱の前に置かれた二つの白い袋には、重さでは説明できない妙な「静けさ」がまとわりついていた。
写真怪談

カーテンを引く音

亡くなった住人の部屋から、毎晩聞こえるカーテンを引く音。けれどそのカーテンは固定され、やがてレールごと取り外された。それでも午前二時十三分になると、何もない窓は右端から少しずつ暗くなっていく。
写真怪談

逆回りのペダル

誰もいない二階の駐輪場で、精算を終えるたび、停められた自転車のペダルが一台ずつ後ろへ回る。車輪は、どれも動いていない。
写真怪談

零番回線

繁華街の古い雑居ビルへ、とうに切れたはずの一本の回線が、今も夜ごと「呼出し」を送り続けている。
ウラシリ怪談

四十メートルの舌

八百個の風鈴が鳴る四十メートルの参道で、最初に消えたのは音ではなく、短冊の影だったそうです。
写真怪談

針金の四拍

閉館後の音楽ホールで、針金のオーケストラだけが、誰かの帰りを四拍で見送っていた。
写真怪談

三番の声だまり

試合後の群衆が駅へ押し寄せる高架下で、まだ誰も叫んでいないはずの歓声だけが、頭上から先に落ちてくる。
写真怪談

吹き抜けの内側

閉館後の吹き抜けで、一灯だけ遅れて点く理由を知ってしまった人は、もう真下を歩けなくなります。
写真怪談

外壁の窓

トンネルの中を走るはずの電車が、ある日から外壁のほうに窓を並べ始めました。
ウラシリ怪談

水面の下の介添え

三十四分のマッコウクジラの出産記録には、十一頭では足りない“介添え”が残っていたそうです。
ウラシリ怪談

地下一席

盗まれて溶かされたはずの優勝皿は、四か月後、いちばん近い地下に戻っていました。けれど裏面に増えていたのは、優勝者の名ではなく、次の置き場所を告げる一行だったそうです。
ウラシリ怪談

となりの青いドラム

並べられた二つのドラムセット。そのうち片方は、もう誰も叩かないはずの新品でした。それでもあの夜、舞台の上では確かに「合図」が返ってきたそうです。
ウラシリ怪談

三十五年目の空席

三十五周年の夜、誰も座っていないはずの空席が、対戦台の向こうで静かにこちらを待っていたそうです。
写真怪談

網目の零番

夕暮れのテニスコート脇、ゴルフ練習場の防球ネットを見上げた一枚に“欠けた網目”が残った――その空白は、拡大するたび位置を変える。
写真怪談

水面に届くコード

夕暮れの池のベンチで、音のしないギター練習を見かけた――そう思った瞬間から、水面が「弾かれ」始めた。
ウラシリ怪談

燃えた連絡バスの警告音

燃え尽きたはずの空港連絡バスから…警告音だけが帰ってくるそうです…
写真怪談

地脈の指音(しおん)

掘っても掘っても何も出ないのに、音だけが続いた。翌朝、音の中心が移った場所に立つと、足の裏が……。
ウラシリ怪談

三番が鳴る駅

いつもの旋律が「三番」に変わった日、ホームでは地図にない行き先が一拍だけ灯っては消えたという…