駅の怪異

写真怪談

赤信号の分岐

雨に濡れた線路の奥で、赤信号がひとつ多く映っている――それは、存在しない分岐へ出発を待つものの灯りだった。
写真怪談

水溜まりの靴

雨の駅前に残されたのは、足跡ではなく、床そのものが歩き出すための目印だった。
写真怪談

掌の送り状

いくつもの線路を見下ろす歩道橋で、掌の線だけが送り状の押印欄として失われていく。
写真怪談

握り返す継ぎ目

遅延した満員電車で、連結部分の手すりだけが、人の手の温度を覚えていた。
写真怪談

先席の白い袋

優先席の下に落ちていた、空の白い袋。捨てても戻るそれは、少しずつ車内の表示から一文字を抜き取っていく。
写真怪談

三番の声だまり

試合後の群衆が駅へ押し寄せる高架下で、まだ誰も叫んでいないはずの歓声だけが、頭上から先に落ちてくる。
写真怪談

出発済の信号

赤信号が点いたのは、列車を止めるためではなく、すでに出発してしまった何かを記録するためだったのかもしれません。
写真怪談

黄色い戻り道

雨の日の駅出口にある黄色い点字ブロックは、人を導くためではなく、誰かを戻すために濡れていたのかもしれません。
ウラシリ怪談

除かれた朝の便

連休終盤の朝、満席のはずの便にだけ残っていた「除」の席――そこに乗った人たちは、見送られる側ではなかったのかもしれません。
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二十時五十六分の隙間

午後8時56分、ホームの時計だけが知っている三分間。電光掲示板が20:59を示したとき、足元の黄色い点字ブロックに残っていたものは――。
写真怪談

点灯前の一本

始発前の駅ビル前。人影より一本多い足音が、頭上の“空いた丸穴”の真下で必ず重なる――。
写真怪談

送風跡

電源を落としたはずの弱冷房車の屋根だけが、夜ごと少しずつ冷えた跡を伸ばしていく。
写真怪談

6番改札のICだけが消えない

終電後の改札で、6番だけが「IC」の灯りを残し、誰にも見えない“通過”を繰り返していました。
写真怪談

境界の窓

「乗務員室」の窓に浮かぶ白い文字が、いつから“こちら側”を見返すようになったのか。
ウラシリ怪談

七日間の間口

駅のロッカーで“予約していない一冊”が七日間だけ混ざり続け、最後に白い封筒が残ったそうです。
写真怪談

白屋根の欠番

駅前ロータリーの白い屋根の下で、列にいるはずの一台が“欠番”になっていく夜。
ウラシリ怪談

支払方法:空白

閉店中のはずの無人店舗で、回収しても回収しても“空白のレシート”だけが増えていくそうです……。
ウラシリ怪談

二千五百一枚目の整理券

二千五百枚で終わるはずの整理券が、終わらなかったそうです…