時のひずみ

写真怪談

角に置かれたまま

たった一つ、荷物棚の「角」にだけ、ぴたりと残された黒いバッグ——それは忘れ物ではなく、次の“反射”を待つ席だった。
写真怪談

まわり道→

工事で塞がれたいつもの裏道――「まわり道→」に従った先で、見慣れた街の“綻び”に気づいてしまう。
写真怪談

吹き抜け階段の「0階」案内

閉店後のモールで、緑の案内板が示した“存在しない階”——そこへ続く階段を上った人は、いつから「落とし物」になってしまうのか。
ウラシリ怪談

二日分のスタンプ

二日間だけのはずだった催しの記録が、終わったあとも“二十秒ずつ”増え続けるそうです。
写真怪談

継ぎ目へ続く通路

黒い外壁に挟まれた裏通路の点検写真――ただそれだけのはずが、画面の中の道は「次の瞬間」から伸び始めた。
ウラシリ怪談

今日が終わらない見守り

電池交換が要らなくなった見守りは、亡くなったあとも“いつもの一日”を報告し続けたそうです。
写真怪談

席は窓際

閉店したはずのショーウィンドウが、内側から曇る夜がある——短冊の「本日おすすめ」が、なぜかあなたの席を決めてしまう。
写真怪談

右端のワイヤーカバー

二月初頭の夕方、スーパーの脇道に出る「だんご」屋台──右端に写り込んだ色褪せたカバーは、なぜ“黄色に戻る前”の顔をしていたのか。
写真怪談

鉄骨に噛まれた街灯

高架化工事の鉄骨が並ぶ踏切脇の道で、赤い警報灯が消えない“時間”があると気づいた夜の話。
写真怪談

架線の門の白点

夕暮れの線路写真を開くたび、同じはずの“白点”だけが近づいてくる。気づけば部屋の床に、二本の白い線が走っていた。
ウラシリ怪談

凍る告知

配られた注意喚起の紙に まだ来ていない日付が押されていたそうです…
写真怪談

一輪車の戻り跡

住宅地の裏の貸し畑で、白い防虫ネットの弧が“数えたぶんだけ”増えていく。
写真怪談

押ボタン式の誤差

青空の交差点で「押す」たびに、渡るはずの線が一本ずつ減っていく──銀色フェンスの向こうで、何が吊られているのか。
写真怪談

七番打席のぬるい缶

開場前の無人の打席で、ぬるい缶だけが現実の温度を裏切る――七番打席に戻れない“最後の一分”の話。
ウラシリ怪談

戻る消印

ガラスケースに並んだ百八十通の“宛先不明”が、朝になるたび一日ずつ昔の消印へ戻っていくそうです…
写真怪談

外周フェンスの目数

誰もいない放課後の校庭を、フェンスの外から見ただけだった。それなのに、金網の目がこちらを数え始める——。
写真怪談

網目の欠け

畑と道を分けるオレンジのネット。その“弛んだ一点”をスマホで確かめた瞬間、三人の影が四つになった。
写真怪談

角を曲がれない

午後三時の住宅街、交差点で配達のバイクが「角を曲がれない」――頭上の電線が震えた瞬間、街の影が一本ずつ抜かれていく。