写真怪談 浴衣の五人
駅前の夏祭りの帰り道。人ごみから少し外れた歩道で、五人の女性が並んで立っていた。全員が浴衣姿で、後ろを向いている。髪をまとめ、帯を締め、誰一人としてこちらを振り返らない。最初は気にせず通り過ぎようとした。でも、近づくにつれ、何かがおかしいと気づいた。まず、五人とも、まったく同じ靴を履いていた。次に、帯の結び方までが全員一緒。浴衣の柄だけが違う。それでも祭りの格好としては珍しくない。だが──立ち止まったとき、自分の足元が急に濡れた。雨なんて降ってない。しゃがんでみると、彼女たちの下、歩道の隙間から濁った水がしみ出していた。しかもそれが、真ん中の女の足元だけから流れていた。その時、五人のうち一人が、ゆっくりと手を上げて、髪を直す仕草をした。……髪を直す指が、七本あった。一瞬で背筋が凍った。動けなかった。でも次の瞬間、隣の友人に肩を叩かれ、振り向いたら──五人はもういなかった。そこには乾いた歩道と、柵の向こうに灯りだけが残っていた。この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィクションです。