静かな異変

ウラシリ怪談

遊んだあとの返送票

祭りの景品を扱う問屋に、使い終わったはずの水鉄砲の的が、返送票つきで戻ってくるようになったそうです。
ウラシリ怪談

受け身のいない床

追加キャラクターの動きが完成した夜から、誰もいない床が受け身を取りはじめたそうです。
ウラシリ怪談

十三インチの隙間

閉じたはずの新しいノートの隙間に、もうひとつ細長い“部屋”が残っていたそうです。
晩酌怪談

残機

深夜の晩酌と古いシューティングゲーム。その残機表示が、いつからかグラスの氷と同じ数で動くようになった。
写真怪談

青札

駅前の駐輪場に、ときどき「日付のない青札」が下がる。その札に触れた自転車は、夜のうちに一度だけ誰かを送りに出るらしい。
写真怪談

無音の止まり木

解体現場の横で群れるスズメは、鳴き声ではなく“無音”を守っているように見えた。
ウラシリ怪談

七日間の間口

駅のロッカーで“予約していない一冊”が七日間だけ混ざり続け、最後に白い封筒が残ったそうです。
写真怪談

爪跡の残る石

資材置き場の片隅、石に残った爪跡が“数の狂い”を告げる——見下ろすカエルは、何を数えているのか。
写真怪談

緑の金網に残る白

雪の昼、緑道のフェンス越しに見上げた焼けたアパート――画面の中だけが先に“季節をずらし”、消せない一枚になっていく。
ウラシリ怪談

空白の利用カード

「来館前に申請すれば、一週間で受け取れる」…そう書かれた案内ほど、後から“空白”が怖いものはないのです…
写真怪談

右端のワイヤーカバー

二月初頭の夕方、スーパーの脇道に出る「だんご」屋台──右端に写り込んだ色褪せたカバーは、なぜ“黄色に戻る前”の顔をしていたのか。
写真怪談

照明列の欠け目

開演直前、白いスモークに飲まれた会場で「照明の列」だけが、数を変えはじめる。
写真怪談

302が息をする

曇天の昼、薄暗いエントランス脇の集合ポストで「302」だけが、何度回収しても封書を吐き戻す——。
写真怪談

給水タイムの奥

幹線道路沿いの搬入口で撮った一枚に、暗い通路の“壁際”にいるはずのないものが写っていた——静けさが異常だった理由を、写真だけが知っている。
写真怪談

紙垂の影

いつもと違う路地を抜けたら、参道の入口が「最初からそこにいた」みたいに近くて――塀の上の鳩と紙垂が、静かに心をほどいていく話。
写真怪談

狐壇の通路

五色の房が揺れる夜、白い狐たちが並び替わって“通路”をつくる――その先で、誰かの小さな願いがそっと帰ってくる。
写真怪談

硬貨専用

人通りのない農園の販売機なのに、商品だけが「いつの間にか」売り切れていく——硬貨専用の扉の向こうで、誰が何を買っているのか。
写真怪談

昼の縫い目

昼の工事現場で、忘れたふりをしていた“明け方の恐怖”が静かに蘇る。