視線

写真怪談

木像の息継ぎ

窓を塞がれた古美術商の小さなショーケースは、深夜になると町の音を一息ずつ吸いはじめる。
写真怪談

八人目の向き

放課後の公園で、七人しか座っていないはずの遊具が、毎日ひとり分だけ遅れて軋む──背中しか見せない理由を知ったとき、もう正面には回れません。
写真怪談

三席目

屋上の二脚は、誰も座っていないはずの一辺だけを、毎日きれいに空けて待っていました。
写真怪談

停車位置

閉業したガソリンスタンドの裏窓に、何日も同じ位置に立ち続ける人影があった。誰も入れないはずの場所に見えるそれは、やがて別の窓へ移ってくる。
写真怪談

消火ホース逆流

小火で塞がれた住宅街の渋滞の中、園児バスの窓だけが“濡れて”いた――三階から見下ろした主人公が拾ってしまう、消火ホースの逆流。
写真怪談

欠損稜線

冬の夕焼けに浮かぶ富士山——その稜線が、写真の中でだけ静かに“欠け”はじめる。
ウラシリ怪談

百目盛りの端面

57.6Tbpsが通った夜、端面に“百の睫毛”みたいな輪が残ったそうです。
写真怪談

赤い三角の病棟

病院の裏路地で見上げた窓に、赤い三角がひとつ増えた瞬間から、影の形が崩れはじめた。
写真怪談

影が戻る門

冬の放課後、正門前の木に止まるヒヨドリは、下校の列ではなく“放課後そのもの”を数えていた。
写真怪談

境界の窓

「乗務員室」の窓に浮かぶ白い文字が、いつから“こちら側”を見返すようになったのか。
写真怪談

爪跡の残る石

資材置き場の片隅、石に残った爪跡が“数の狂い”を告げる——見下ろすカエルは、何を数えているのか。
写真怪談

節の数が合わない

中庭の一本の木に空いた「丸い穴」。夕方になると、そこから“息”が漏れはじめた——。
写真怪談

結び目のないブリキ缶

住宅地の中の農家、その納屋口で“いつもはすぐ消える猫”が動かなかった日――黄コンテナの上のブリキ缶は、ほどけない形で縛られていました。
写真怪談

こちら向き

吹雪の細道で、カーブミラーだけが“こちら向き”に光った夜――帰り道は、同じ場所へ何度でも返される。
晩酌怪談

赤丸の値札が消えない夕方

十二月の午後四時、居酒屋の軒先で“数え直せない”ものが増えていく——赤丸のメニューが滲むとき、棚の並びも変わりはじめる。
写真怪談

交番のガラスに、次の顔

留守が多いはずの住宅街の交番に、珍しく警官がいた――ただ、瞬きもしないまま正面を見続けていて。
YouTube

【第参夜】押し入れの向こう

AI怪談工房の原型となったYouTubeのショート動画を、テスト掲載しています。🎙 VOICEVOX(青山龍星)📘 ChatGPT(GPT-4)🎵 Mubert(AI生成BGM)📽 Sora(AI映像生成)🖼 DALL·E 3(実写風画像)🔊 SE: 効果音ラボ / freesound※この物語はフィクションです。AIと人間が共に紡いだ現代怪談の世界をお楽しみください。
写真怪談

錆びた籠の中の囁き

庭の片隅に吊るされた、錆びの浮いた透かし彫りの鉄籠。その形は紅葉の葉を模しているが、じっと見つめていると葉の隙間から「目」がこちらを覗いているように思えた。ある夜、風もないのに鉄籠がわずかに揺れた。中から小さな声が漏れ出す。囁き声のようでもあり、泣き声のようでもあるそれは、聞き取ろうと耳を澄ませば澄ますほど意味を持ちはじめる。──出してくれ。──苦しい。声はそう繰り返していた。翌朝、鉄籠の下に植えられた葉の一部が黒く変色しているのに気づいた。まるで声を吸い込むように、葉脈から滲み出た闇が広がっていた。近所の古老が言うには、その籠は元来「灯籠」として使われ、魂を閉じ込めるための道具だったらしい。炎とともに消えるはずの影が、何らかの理由で留め置かれてしまったのだ。そして今も籠は揺れる。囁きは夜ごと増していき、やがてははっきりとした「誰かの名」を呼び始めるという。もしそれが自分の名だったなら──二度と庭には戻ってはならない。この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィクションです。