日常の崩れ

ウラシリ怪談

封水の歯

排水口を“きれいにする手順”をなぞった夜から、穴の奥が先に磨きはじめたそうです。
写真怪談

網目の零番

夕暮れのテニスコート脇、ゴルフ練習場の防球ネットを見上げた一枚に“欠けた網目”が残った――その空白は、拡大するたび位置を変える。
写真怪談

欠損稜線

冬の夕焼けに浮かぶ富士山——その稜線が、写真の中でだけ静かに“欠け”はじめる。
写真怪談

交差影の結び目

深夜三時、杭よりも濃く伸びる影の“交差”を一度踏んでしまった――写真は、あとから数を増やしてくる。
写真怪談

赤い三角の病棟

病院の裏路地で見上げた窓に、赤い三角がひとつ増えた瞬間から、影の形が崩れはじめた。
写真怪談

欠席格子

日曜の朝、誰もいない校門で、ネットの一マスだけが“塞がって”いました。
写真怪談

暗層勤務表

明るい展望フロアの直下で、暗い窓だけが“勤務”を続けている理由を、あなたは見てしまいます。
写真怪談

影が戻る門

冬の放課後、正門前の木に止まるヒヨドリは、下校の列ではなく“放課後そのもの”を数えていた。
写真怪談

目地が増える

舗道の円い蓋のまわりだけ、苔が“縫い付けられた”ように増えていく──その写真が、いつの間にか更新されていた。
写真怪談

6番改札のICだけが消えない

終電後の改札で、6番だけが「IC」の灯りを残し、誰にも見えない“通過”を繰り返していました。
写真怪談

足を数える波紋

水路にいた二羽の鴨。そのうち一羽が潜った瞬間、水面の輪は“足の数”を数え始めた――。
写真怪談

角に置かれたまま

たった一つ、荷物棚の「角」にだけ、ぴたりと残された黒いバッグ——それは忘れ物ではなく、次の“反射”を待つ席だった。
写真怪談

まわり道→

工事で塞がれたいつもの裏道――「まわり道→」に従った先で、見慣れた街の“綻び”に気づいてしまう。
ウラシリ怪談

七日間の間口

駅のロッカーで“予約していない一冊”が七日間だけ混ざり続け、最後に白い封筒が残ったそうです。
ウラシリ怪談

熱を売る自販機

寒いのに行列ができる“昭和の自販機”――みそ汁の湯気が、上へ昇らない日があったそうです。
写真怪談

爪跡の残る石

資材置き場の片隅、石に残った爪跡が“数の狂い”を告げる——見下ろすカエルは、何を数えているのか。
写真怪談

継ぎ目へ続く通路

黒い外壁に挟まれた裏通路の点検写真――ただそれだけのはずが、画面の中の道は「次の瞬間」から伸び始めた。
ウラシリ怪談

玄関がまだ外だった

「裏から見ても同じに読める」札を玄関に掛けた家で、境目そのものが迷いはじめた――そんな噂です。