集合住宅

ウラシリ怪談

天井からの足音

夜中、下の階から「足音が響いている」と苦情があったそうです。しかし、当の部屋の住人はひとりきりで、深夜はほとんど動かない生活をしていたといいます。不審に思い、管理会社とともに調査を始めた時のことです。録音機を設置したところ、住人が眠っているはずの時間にだけ、一定のリズムで歩く足音が記録されていたそうです……。しかも、その音は床板の上ではなく、部屋の天井側から鳴っていたといいます。まるで、上下の構造が入れ替わったかのように。その証拠を提出しようとした矢先、録音機のデータは途中で途切れ、最後の二歩分だけが妙に近く、鮮明に残されていたそうです。その音は、まるで誰かが録音機のすぐ横に立ち止まったかのように響いていたと伝えられています……。以来、その住人は夜ごと天井を見上げて眠れなくなったそうです。この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。自分の家が騒音発生源ではないことを証明するための調査がしたい
ウラシリ怪談

廊下に残る三本指の跡

管理掲示板に「共用廊下への私物放置はご遠慮ください」と追加の紙が貼られた日から、廊下の隅に置かれた物の向きが、朝だけ少しずつ変わったそうです。折りたたみ椅子は壁に背を向け、傘立ては手すり側へ寄り、空の段ボールは開口部が各戸の表札の方を向いた……そんな具合だったといいます。深夜、見回りに出た清掃員は、床のタイルに水の輪染みが数珠つなぎに残っているのを見たそうです。人の足跡ではなく、プラスチックの脚や台車の車輪が押した痕のようで、輪は各戸の前で必ず一度だけ止まり、次の戸口へ進んでいたといいます。ある晩、監視カメラに廊下の全景が映っていたそうです。二時を回っても誰も通らず、映像は静止画のように変化がないのに、翌朝には廊下一面の物が等間隔で並び、全ての戸口の前に一つずつ配置されていた……そんな報告が残っているそうです。置かれた物と戸口の隙間はぴたりと同じで、メジャーで測った管理人は「どの家も指三本ぶん」と記録したといいます。その頃から、玄関前の足拭きマットに、見知らぬ家具の脚の跡が薄く残る家が増えたそうです。跡は朝...