写真怪談

写真怪談

緑の金網に残る白

雪の昼、緑道のフェンス越しに見上げた焼けたアパート――画面の中だけが先に“季節をずらし”、消せない一枚になっていく。
写真怪談

寺院通3番の着信

珍しく雪が積もった都内の昼下がり、「寺院通3番」で鳴ったはずのない着信。ガラスの“内側”に触れた瞬間、街角の静けさが形を変えはじめる。
写真怪談

蔦壁の結び目

蔦に覆われた外壁と、頭上を縫う電線——毎朝見ていた路地で、空が「欠けはじめる」。
写真怪談

黄色いリベットと「Hello」

都内の高架下、黄黒の橋脚に貼られた「Hello my name is」だけが、なぜかいつも新しい――その理由に気づいた夜から、呼ばれるはずの名前が消え始めた。
写真怪談

節の数が合わない

中庭の一本の木に空いた「丸い穴」。夕方になると、そこから“息”が漏れはじめた——。
写真怪談

筋交いの×

車庫の屋根を支えるはずの筋交いの「×」が、ある日から“記録”と“名前”の上にだけ、やけに正確に重なりはじめた。
写真怪談

右端のワイヤーカバー

二月初頭の夕方、スーパーの脇道に出る「だんご」屋台──右端に写り込んだ色褪せたカバーは、なぜ“黄色に戻る前”の顔をしていたのか。
写真怪談

鉄骨に噛まれた街灯

高架化工事の鉄骨が並ぶ踏切脇の道で、赤い警報灯が消えない“時間”があると気づいた夜の話。
写真怪談

緑道の架線に吊る赤

川と車両基地の間の緑道で、赤い「停止」がこちらに向いていることに気づいた夜から、影が遅れて動きはじめた。
写真怪談

架線の門の白点

夕暮れの線路写真を開くたび、同じはずの“白点”だけが近づいてくる。気づけば部屋の床に、二本の白い線が走っていた。
写真怪談

照明列の欠け目

開演直前、白いスモークに飲まれた会場で「照明の列」だけが、数を変えはじめる。
晩酌怪談

網入りガラスの遅い影

休店日の居酒屋、その窓に並ぶ緑の瓶と街灯の反射――映り込みのはずの影だけが、なぜか“遅れて”残った。
写真怪談

No Graffitiの白塗り

高架下の「落書き禁止」掲示のそばに残る白い消し跡――あれが隠しているのは、塗料では消せない“輪郭”でした。
写真怪談

防音壁の継ぎ目

左右の防音壁に挟まれた無人のランプで、検知ログだけが“通過”を刻み続けた──消えたのは車か、それとも記録か。
写真怪談

302が息をする

曇天の昼、薄暗いエントランス脇の集合ポストで「302」だけが、何度回収しても封書を吐き戻す——。
写真怪談

給水タイムの奥

幹線道路沿いの搬入口で撮った一枚に、暗い通路の“壁際”にいるはずのないものが写っていた——静けさが異常だった理由を、写真だけが知っている。
写真怪談

壁画トンネルの影

海の壁画が残る薄暗いトンネル。出口の白い柵が近づかないとき、あなたの足元から“何か”が剥がれていく。
写真怪談

紙垂の影

いつもと違う路地を抜けたら、参道の入口が「最初からそこにいた」みたいに近くて――塀の上の鳩と紙垂が、静かに心をほどいていく話。