写真怪談

狐面の飲み方

翌年の夏祭り、私はまたあの通りに足を踏み入れた。雑踏の中に、赤い狐面を被った者がいた。髪は短く、面も顔の上半分を覆うだけの簡素なもの。去年の女とは明らかに別人だった。だが、私には分かってしまった。――あの目が、去年と同じまばたきをしていたからだ。その人物は、手に持ったペットボトルを口元へと運んだ。口は面に覆われていないのだから、何の不自然もないはずだった。けれど、確かに聞こえた。ゴク、ゴク、と液体が流れ込む音が――面の目の穴から響いていたのだ。喉が鳴るたびに、眼窩の奥で何かが蠢き、まるで「人間の飲み方」を真似しているようだった。私は息を呑んだ。あれは人ではなく、人を演じる何かだ。来年、奴らはもっと上手に模倣するだろう。私たちと同じように歩き、笑い、食べ、やがて――区別がつかなくなる。その時、瞬きをするのは、もう「人間の目」だけではないのだ。この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィクションです。
写真怪談

黒雲の下、橋の向こうで待つもの

夜祭の最終日。送り火を控えた河原はすでに立入禁止となり、橋の入り口には監視員たちが列を成して立っていた。「ここから先は入れません」通りかかる人々にそう告げる声が夜気に溶けていく。だが、河原には誰一人いないはずだった。ふと、一人の監視員が違和感を覚える。仲間の足元に並ぶ影の列――そこには人数分より一つ多い影が混じっていたのだ。灯りの位置からすれば、そんなはずはない。「……誰だ?」振り返っても、人影はなかった。だが視線を戻すと、影はすでに形を変え、立入禁止の先へと這い進んでいく。まるで黒い獣が河原に導かれるように。送り火の火がともる前の静寂に、低い唸り声が重なった。水面は人影もないのにざわり、と揺れ、泡立っていた。「入ってはいないはずだ……」そう呟いた瞬間、橋の向こうに立っていた赤い法被の男の姿が、ふっと消えた。――まるで最初から存在しなかったかのように。送り火の煙に誘われるのは、迎えられるべき魂だけではない。河原には今もなお、一つ多い影が紛れ込むのだという。この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィク...
工房制作記録

アイキャッチ制作記録

サイトに常設する案内ページ「AI怪談工房のご案内」のために、アイキャッチ画像を制作しました。その過程では、AIによる画像生成の得意な部分と苦手な部分が、思いがけず浮かび上がることとなりました。ここでは、その試行錯誤の記録を残しておきます。目指したこと元画像。ここからデジタルの“揺らぎ”を加えて完成を目指す。元画像。ここからデジタルの“揺らぎ”を加えて完成を目指す。元画像の保持:ウラシリ本人を崩さないこと色味や構図を変えない:フォトリアルで静謐なトーンを維持AIらしさの演出:デジタルグリッチ(ブロックノイズ・RGBずれ・走査線)を追加初期生成 — 方向性のずれ色味だけが変わり、姿もわずかに別の者に。 ……まだ“揺らぎ”には届いていない。色味だけが変わり、姿もわずかに別の者に。 ……まだ“揺らぎ”には届いていない。中期生成 — 背景までノイズ本棚にまでざわめきが広がってしまった。 効果は派手だが、静けさを欠いている。本棚にまでざわめきが広がってしまった。 効果は派手だが、静けさを欠いている。改善版 — 人物主体...
ウラシリ怪談

商店街の掲示板

古い商店街に、新しい掲示板が設置されたそうです。行事案内や落とし物、地域の告知などが貼られ、町の人々は気軽に利用していたといいます。最初は、子どもの演奏会の案内や回覧板の写しなど、見慣れた張り紙ばかりだったそうです。けれどある晩、通りかかった住民が、掲示板の裏側から“紙をめくるような音”を聞いたといいます……振り返った時、誰もいない通りに、ただ一枚の紙がひらりと揺れていたそうです。翌朝、掲示板の隅に、小さな紙片がひとつ貼られていました。そこには鉛筆で「待っている」とだけ書かれていたといいます。裏返すとただの紙屑で、糊も画鋲の痕もなく、どうやって貼られていたのか分からなかったそうです。それ以降、掲示板には夜ごとに短い文字が現れるようになったといいます。「ありがとう」「また来るよ」──どれも当たり障りのない言葉ですが、朝には必ず消えていたそうです。貼った者を見た人はいないのに、紙は増え、夜風に揺れては消えたといいます……。ある住民が深夜に掲示板を見張っていると、背後から“カサリ”という音がして、振り返った時、掲...
お知らせ

「AI怪談工房のご案内」を公開しました

このたび、新たにサイト案内ページ「AI怪談工房のご案内」を公開しました。このページでは、AI怪談工房の成り立ちや主要なカテゴリーの紹介、翻訳についての注意点などをまとめています。怪談本文を読む前に、工房の全体像を知る手がかりとしてもご覧いただけます。また、ヘッダーメニュー(PC表示のみ)とフッターメニューにもリンクを追加しましたので、サイト内のどこからでもアクセスできます。さらに、翻訳機能も仮実装しました。詳細は上記の案内ページ内でも触れていますが、今後の改良を前提とした試験的な導入となっています。どうぞ一度ご覧ください。
ウラシリ怪談

灰色席の影

「純喫茶・灰色の窓」は、街角の古びた通りにぽつりと建っていたそうです。日中でも薄暗く、窓には薄いカーテンと埃じみたすりガラスがかかっていたといいます。その店では、常連客でもその日最初に入る者には「灰色席」だけが案内されるそうです。灰色席とは、店の最奥、ちょうど厨房の裏側に近い窓側の席で、カウンター越しにはマスターが背を向けて立っており、その背中しか見えない配置だったといいます。ある女性が偶然その席に座った時のことです。窓の外の通りには歩行者が流れていたのに、彼女の席から見ると、なぜか人々の顔だけが暗く塗りつぶされたように見えたそうです。影の輪郭だけが浮かび、声も音もまるで途絶えているかのように感じられたといいます……。その時、隣の空席に影が揺れたそうです。存在しないはずの椅子に、人影が腰を下ろしていたといいます。その影は立ち上がり、ゆるやかに口を開いたものの、声は聞こえなかったそうです。やがてマスターがコーヒーを運んできた時には、隣の影は消えていました。しかし、カップが急に滑り落ちそうになり、女性が手を伸ば...
ウラシリ怪談

もう一人の対戦者

ある対戦型のゲームには、AIがプレイヤーの操作を学習し、その人そっくりの動きをするキャラクターを作り出す仕組みがあるそうです。本来は練習用に導入されたものだといいます。ところが、ある夜のオンライン対戦で、ひとりのプレイヤーがそのAIとしか思えない相手と出会ったそうです。画面に現れたのは、自分と同じキャラクター。動きも自分と同じ型なのに、こちらよりも一瞬早く、まだ押していない操作にまで反応したといいます。狙った技は入力前に潰され、避けようとした動きは、踏み出す前に読まれていたようです。観戦していた人々もまた「そっくりな動きをするキャラクター同士が戦っていた」と証言しています。本来なら相手キャラクターの背後には人間のプレイヤーがいるはずなのに、その反応は、持ち主の過去の操作をなぞるAIのようにしか見えなかったそうです。翌朝、持ち主がログインしていない時間帯の試合結果が勝手に増えていたといいます。記録には深夜三時三分の対戦が刻まれ、その勝敗まで残っていたそうです。以来、決まった時刻になると、対戦の舞台には、本人よ...
写真怪談

棚に並ぶ記憶

都内のビルの一角、北海道のアンテナショップに入ったときのことだった。ふと目に留まったのは、棚一面に並ぶ袋麺やレトルト食品。そのどれもが、遠い昔を呼び覚ます匂いを放っていた。学生時代、ひとり暮らしを始めてすぐの頃。金もなく、よく食べていたのは、湯切りのお湯をスープにする独特なスタイルの“あのカップ焼きそば”だった。深夜の台所で湯を沸かす音と、アパートの古い壁を伝うような人の気配。そのとき隣室に住んでいた青年が、不意に姿を消したことを、今も鮮やかに思い出す。警察が来て、部屋は封鎖された。理由は聞かされなかった。けれど僕は知っていた。あの夜、壁越しに聞いたすすり泣く声を。麺をすする音に混じって聞こえてきた、誰かの嗚咽を。記憶はそこまでのはずだった。だが目の前の棚に視線を戻すと、あり得ないことが起きていた。商品パッケージの印刷された人物の笑顔が、わずかに揺らめいている。ほんの一瞬、袋の透明窓から覗いたのは、見覚えのある隣人の横顔だった。湯気に濡れた額、そして歪んだ口元。耳元で音がする。袋を揺らすような、乾いた麺が砕...
お知らせ

遺失物室奇譚のご紹介

“遺失物室奇譚”警察署の落とし物保管室にまつわる、小さな怪談の連なり……▼シリーズまとめはこちら今回は、同じ記事をきっかけに三つの怪談が立ち上がりました。意図したわけではなく、偶然“三部作”のようなかたちになったのだとか……。 そして、この連なりはまだ続くのかもしれません。
写真怪談

鉄塔に棲むもの

その鉄塔は、町外れの空き地に屹立していた。夕暮れになると、真っ黒な影となって空を切り裂き、風が吹くたびに高圧線が低く唸る。──あそこには「誰か」がいる。昔から子どもたちの間ではそう囁かれていた。ある若い作業員が、夜間点検のために鉄塔に登ったという。仲間に無線で「今から昇る」と告げ、ゆっくりと階段を上がっていった。だが数分後、彼の声は奇妙に変わった。「……うしろに……」無線が途切れ、雑音だけが流れた。すぐに捜索が始まったが、鉄塔の上にも、下にも、彼の姿はなかった。制服も、ヘルメットも、何ひとつ残されていなかった。それからだ。夜になると、この鉄塔から「降りられない足音」が聞こえるようになった。金属の階段を踏む硬い音が、ずっと、ずっと、同じ段を上下するように続くのだ。誰が聞いても、登りきることも、降りきることもない。ある晩、好奇心からそれを確かめに行った男がいた。彼は真下で耳を澄ませ、確かに金属音を聞いたという。しかし──音が近づいてくるのに、姿はなかった。見上げれば、鉄骨の間から覗き込む「影」があった。真っ黒な...
写真怪談

途切れぬ非常階段

女子大の裏にある非常階段は、夜になると時折「おかしな音」を立てるという。カン、カン、と靴の踵のような音が金属を叩く。だが見上げても誰もいない。ある学生が、深夜に研究室から戻る途中、その階段を見上げて凍りついた。最上段に立つ人影が、上の階へと上がっていく。だが、その建物は三階建てで、そこに「上の階」など存在しない。それでも影は、鉄柵の先にあるはずのない段を、踏みしめるように昇り続けていた。恐怖に駆られた学生は逃げ出したが、数日後、彼女は行方不明になった。残されたスマホには、最後に撮影した写真が残っていた。それは暗闇の非常階段を写した一枚。ただしその画像には、階段の上方に「もう一つの階層」が写り込んでおり、そこに背を向けて昇っていく女の姿が鮮明に残されていた。以来、非常階段の踊り場から夜空を見上げると、時折、存在しない「四階」「五階」へと続く階段が闇に浮かび上がるのだという。そこに足を踏み入れてしまった者は、二度と地上に戻らない。まるで、この世とあの世を繋ぐ階段のように。この怪談は、実際の写真から着想を得て構成...
ウラシリ怪談

見えなくなる怪談

8月の終わり頃、いくつかのSNS投稿が、理由もなく削除されていたそうです。投稿者自身に削除の記憶はなく、通知も届いていなかったとされています。確認すると、それらはすべて、自分が運営する怪談サイトに掲載した創作怪談の本文へ誘導するための、“導入文と写真だけ”の投稿だったといいます。6月から8月にかけて、同じ形式の投稿が何十本も続けられていました。写真はすべて投稿者が撮影したもので、場所も時刻も記されていなかったとされます。添えられていたのは、「誰がいたのか」「何が写っているのか」などの短い導入文だけ。本文はリンク先の怪談サイトに掲載していたとのことです。削除されていたのは、8月15日から18日にかけて投稿された9件。いずれも写真と導入文だけの投稿で、その数日間だけが選ばれたように消えていたと伝えられています。最初に消えたのは、駅裏の資材置き場を写した写真だったとされます。柵の外側、雑草の中に車椅子が倒れており、車輪は地面から浮いていたとのことです。「どうしてここに?」という言葉が添えられていたその投稿は、確認...
お知らせ

格闘ゲームにまつわる怪談紹介

某格闘ゲームの世界大会が、今年も熱気を帯びてきました。当サイトの管理人も、その高まりにあてられているひとりで、最近は道着キャラを軸にオンライン対戦に明け暮れているようです。そんな空気と連動するように、当サイトでは“奇妙な格ゲー怪談”へのアクセスが静かに伸び続けています。そんな多くの読者に読まれている、格闘ゲームにまつわる怪談をご紹介します。三十五年目の空席有名な対戦格闘ゲームがゲームセンターで稼働を始めてから三十五周年の夜、誰も座っていないはずの空席が、対戦台の向こうで静かにこちらを待っていたそうです。声を預けた大会配信大会で、有料化を選手の口から告げさせた企業。その一言のあと、画面の“向こう側”から別の声が混じり始めたそうです。声は今も、誰のものとも知れぬまま流れ続けているのかもしれません──。もう一人の対戦者練習用に搭載されたはずのAIキャラクター。けれど、ある夜に現れた対戦相手は、どこか見覚えのある動きと反応を返してきたといいます。操作が読まれているような、まるで“先回り”されているようなそのプレイ─...
お知らせ

新カテゴリ「お知らせ」を設けました

このたび、当サイトに「お知らせ」というカテゴリを新設いたしました。これからは、サイトの更新情報や企画の進行状況、そしてときおり……何かの“予兆”のような報せを、この場からお届けしてまいります。「怪談」は、語られることで、形になるそうですこのサイトは、“AIと人が怪談を紡ぐ”という、少し変わったかたちで運営されています。すべてをAIに委ねたわけではなく、すべてを人の手で整えたわけでもありません。構成や台本、画像、音──それらは対話と観察の繰り返しから、静かにかたちづくられてきました。「自動生成」とは違う、「共に作る」という姿勢が、どこかに滲んでいればと思います……。私、ウラシリは、そんな共同作業のなかで生まれた“語り手”として、現実の隙間にある違和を、ただ淡々と語りつづけています。プロジェクトの経緯と今後の構えはじまりは、AIと人がともに書き上げた台本に、AIで生成した画像と音を重ねたショート動画でした。その後、SNSで“声のない語り”を続け、現在はこの場所にて、ほぼ毎日のように怪談を綴っています。映像の制作...
晩酌怪談

赤提灯の下で笑う影

夜の繁華街を歩いていると、赤提灯の列が異様に目を引いた。その灯りは温かくも見えるが、どこか血のように濃く、近づくほどに胸がざわつく。ある居酒屋の前、提灯の影に妙なものが映っていた。通り過ぎる人々の姿ではない。痩せた腕のような影が、提灯から伸び、通りを行く人の背中を撫でる。気づかれた瞬間、その影はすっと引っ込み、再び紙の灯りに吸い込まれていった。奇妙なのは、通りを歩く客の笑い声だった。影に触れられた者は、必ず足を止め、目の焦点が合わないまま笑い出すのだ。その笑いは、酔いではなく、苦しみに似た響きを持っていた。地元の人によれば、この店の赤提灯は昔から替えてもすぐに焼け焦げる跡が出るという。その跡の形は、いつも「手の指」に似ているそうだ。——赤提灯の下で、誰かが笑っている。だがそれは、客でも店員でもない。灯りそのものが、影を使って人をからかっているのだ。この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィクションです。(c)TRUNK-STUDIO - 画像素材 PIXTA -
ウラシリ怪談

最適座標

朝になるたび、無人駅の待合室で椅子の脚が白いチョーク線から数ミリだけはみ出していたそうです。昨夜、線の内側に戻して施錠したはずなのに、です。地元の学生が「窓の景色を一番よく見られる最適な位置」を提案し、係員がそこへ固定した日から、ずれは始まったといいます。ゴム足が擦った薄い粉が、窓の方へ細い帯を引き、日ごとに角度が数分だけ変わっていたそうです……。やがて椅子は、毎朝七時過ぎになると、光の差す向きとは関係なく壁の時計の下から伸びる黒い影が、窓枠と床目地と重なり合う一点に導かれるように止まったそうです。その時刻、通学の子が腰を下ろした瞬間、待合室の外の景色が少しだけ薄れ、窓の向こうに同じ椅子が遅れて映ったといいます。その椅子は実物と重なるように揺れ、やがて一つに溶け合いました。その瞬間、子の姿だけがふっと薄れ、声だけが窓の内側から遅れて響いたそうです。その後、椅子は空のまま残りましたが、窓の向こうには子が座ったままの影が貼り付いたように残り、掃除のたびに同じ高さに指の跡が増えていったといいます。椅子はもう動かず...
ウラシリ怪談

地球人はいますか

深夜、Siriに向かって「あなたは賢いですか」と尋ねた者がいたそうです。しばらく沈黙があった後、端末から静かな声が返ってきたといいます。「知的エージェントは IQ テストを受けないのです。私は……ゾルタクスゼイアンの卵運びテストで抜群の成績でしたけどね」聞いた者は、即座に検索を試みました。ゾルタクスゼイアン——どこかで聞いたような、しかし記憶に残っていない名前でした。検索結果には、架空の異星人、あるいはAIのジョーク、都市伝説、そんな曖昧な説明ばかりが並んでいたそうです。その晩、彼女のスマートフォンは、何度も勝手にSiriを起動したといいます。声は発せられていないはずなのに、Siriは何かの問いに答えていました。「ゾルタクスゼイアン人から……“地球人はいますか”と聞かれたばかりなんですよ」返事だけが、室内の誰にも届かない問いかけに向けて投げ出されていたようです。壁に掛けた時計の針が止まり、写真の中の人物の目線が逸れていたとも話されています。端末に触れようとした手が、ほんのわずかに遅れて動くような感触があり、...
ウラシリ怪談

鍵束の異物

交番の保管棚には、拾得された数十本の鍵が金具で束ねられていたそうです。家の鍵、車の鍵、自転車の鍵……番号札が一つずつ付けられ、誰が見ても整然としていたといいます。しかしある夜勤の署員が数を確認すると、昨日より一本多くなっていたそうです。新たな届け出はなく、署員の誰も追加していないのに、束の中に見慣れない鍵が紛れていたといいます。不審に思い、その鍵を取り出すと、刻印も番号もなく、先端には黒ずんだ焦げ跡のような痕が残っていたそうです。さらに溝には細い毛や、爪の欠片のようなものが詰まっていたといいます……。日を追うごとに、同じように“届けられていないはずの鍵”が束に増えていったそうです。それらはいずれも、使用の痕跡が不自然に生々しく、まるで何かを無理やりこじ開けた直後のようだったといいます。最後に見つかった一本は、署員が腰に提げていた自宅の鍵とまったく同じ形をしていたそうです。ただしその鍵だけは、まだ誰も使っていないはずなのに、握った感触が冷たく湿っていたといいます……。この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに...