雨

写真怪談

傘の内側の白線

雨の繁華街で、路面と透明傘のあいだを、誰にも説明できない「白いもの」が移り始めた。
写真怪談

雨の日だけ乾く床

雨の日のバスで、乗降口から運転席へ向かって少しずつ伸びる「乾いた筋」を、整備員たちは最後までただの熱とは呼べなかった。
写真怪談

赤で沈む足元

雨に濡れた駅前の赤信号。渡るだけの場所で、足元だけがこちらを引き留めてくる。
ウラシリ怪談

午前零時半、閉じた道から

午前零時半、誰も通れないはずのアンダーパスから一本の電話がかかってきました――「もう、閉まりましたか」
ウラシリ怪談

上を歩いて帰る人

豪雨の夜も走り続けた、地上から吊られた列車。終電を延長したその車内では、なぜか天井にだけ「帰る人」の足跡が残っていたそうです。
写真怪談

通過待ちの荷重

雨の日だけ壊れる、八番乗り場のベンチ。座っているのは一人なのに、金属には何人分もの「重さ」が掛かっていました。
写真怪談

八段目の雨

昼にはひと雨来そうだ――そんな、ごくありふれた朝だった。歩道橋を渡った日のことを、私はもう忘れようとしている。それでも写真だけは、今も削除できない。理由は、見返すたびに思い出してしまうからだ。