宙に残った影

写真怪談

蔦のからまる古い家の壁に、人影のような黒い形が張り付いていた。
毎日同じ位置にあり、誰も近寄らなかった。

ある夕方、その影がゆっくりと屋根の縁に手を掛けた。
指が動くのがはっきり見えた。

翌日、その家は解体され、更地になった。
だが、夕方になると空中に同じ影が浮かんでいるのを、何人も見ている。

この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィクションです。

 

タイトルとURLをコピーしました