駅の改札脇に、無人決済の小さなコンビニができたそうです。店内は約11㎡ほどで、取扱は約200種類に絞られていました。有人レジはなく、天井の複数のカメラと、出口の決済端末だけが、客を捉える仕組みだったといいます。
店が閉まっているあいだだけ、運搬と陳列のために人が入ります。鍵を借りて、静かな店内で、段ボールを開き、棚を整える。作業は単純で、慣れれば迷うこともない……そういう場所です。
けれど、その作業に入るたび、出口の端末がひとりでに点灯するようになったといいます。購入リストが並び始めるのです。おにぎり、紙コップ、電池。棚にある数と、端末に出る数が合わない。誰もいないのに、誰かが「手に取った」扱いになっている。
店は狭く、隠れる場所がありません。冷蔵ケースの裏にも、段ボールの影にも、人が立てる余地がない。それでも端末は、“会計の続きを待つ”ように合計金額を表示し続けます。
紙が擦れる音がして、レシートが一枚、ゆっくり吐き出されたそうです。明細は途中で止まり、支払方法の欄だけが空白のまま。端末の下を覗くと、同じ紙が何枚も挟まっていました。どれも、同じところで止まっている。どれも、空白だけが同じ形で残っている。
さらに妙なのは、レシートの明細に、商品ではない数字が混じることでした。約11㎡、約200。まるで店そのものが、自分の条件を“買い物かご”に入れ直しているような並びだったといいます。確認のために回収しても、次に入るとまた増えている。挟まっているのではなく、“差し込まれている”ように、きちんと奥へ押し込まれている。
監視映像も確認されたそうです。入口の自動扉が動く瞬間はなく、店内に人影もない。それでも出口付近の空間だけが、わずかに暗くなる。人影ではないのに、そこに何かが立った時の暗さだけが、一瞬だけ残る……そういう記録が繰り返し残ったといいます。
作業担当は、端末の表示を消して帰ろうとします。そのたびに、スピーカーから「いらっしゃいませ」が流れるようになりました。入店センサーは反応していない。扉も動いていない。狭い店の中で、その声だけが、天井と床のあいだを一度往復して消える。
そして必ず、レシートだけが増える。支払方法だけが空白のまま。店の条件だけが、明細に紛れ込んだまま。
誰が何を買って、何を置いていくのか。確かめた人はいないそうです。端末の下に残る紙だけが、折れ目も付かずに増え続けている……そんな話を聞きました。
この怪談は、以下の記事をきっかけに生成されたフィクションです。
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