説明のつかない痕跡

写真怪談

青札

駅前の駐輪場に、ときどき「日付のない青札」が下がる。その札に触れた自転車は、夜のうちに一度だけ誰かを送りに出るらしい。
晩酌怪談

二つ目の輪

一杯のそばを啜るたび、少し遅れてもうひと口ぶんの音が返った。誰もいないはずの卓上には、食べ終わるたびもうひとつの痕跡が残った。
写真怪談

拾球当番

夕暮れの住宅街で、投光器が点く前にだけ家の中から鈍い音がする。翌朝なくなっているのは、なぜか決まって“丸いもの”だった。
写真怪談

進入禁刻

藪に埋もれた「進入禁止」の時間だけが、毎日こちらへ寄ってくる。
写真怪談

籠に残る指跡

夜の路地、窓明かりの下の自転車籠に、三本指の“握り跡”が残り続ける――そして、ある朝から形が変わった。
写真怪談

交差影の結び目

深夜三時、杭よりも濃く伸びる影の“交差”を一度踏んでしまった――写真は、あとから数を増やしてくる。
写真怪談

目地が増える

舗道の円い蓋のまわりだけ、苔が“縫い付けられた”ように増えていく──その写真が、いつの間にか更新されていた。
写真怪談

白屋根の欠番

駅前ロータリーの白い屋根の下で、列にいるはずの一台が“欠番”になっていく夜。
ウラシリ怪談

二日分のスタンプ

二日間だけのはずだった催しの記録が、終わったあとも“二十秒ずつ”増え続けるそうです。
写真怪談

継ぎ目へ続く通路

黒い外壁に挟まれた裏通路の点検写真――ただそれだけのはずが、画面の中の道は「次の瞬間」から伸び始めた。
ウラシリ怪談

玄関がまだ外だった

「裏から見ても同じに読める」札を玄関に掛けた家で、境目そのものが迷いはじめた――そんな噂です。
写真怪談

消したはずの渦

住宅地の外れの角にある“程度の低い落書き”は、見るたびに少しずつ形を変えていった。
写真怪談

花壇の黒い輪

珍しく雪が降った翌日の公園、花壇を区切る黒いロープを見た夕方から、手首にだけ“輪”が残りはじめた。
ウラシリ怪談

二枚目の白紙

投票所で「二枚目」を受け取った人がいた――その一枚は、返しても返しても、なぜか残り続けたそうです。
ウラシリ怪談

二千五百一枚目の整理券

二千五百枚で終わるはずの整理券が、終わらなかったそうです…
ウラシリ怪談

塩の隆線

焼けて消えるはずの指紋が、なぜか“紙からだけ”消えていったそうです…
ウラシリ怪談

第十六報の折り鶴

復旧の報告書は、安心のための紙だったはずなのに…折られて届くようになったそうです…
ウラシリ怪談

検出された五秒から二十秒

見えない透かしを探すはずの検証がいつからか本物の会話の欠落を示すようになったのかもしれません…