重機を切った途端、現場は静まった——はずだった。
止まった空き地に、スコップの音だけが一定の間隔で続く。掘り跡は増えない。
試しに柄で地面を二度叩くと、土の下からも二度。
位置は毎回すこしずつずれ、翌朝には音の中心が区画の真ん中に移っていた。
薄い板でも埋まっているのかと掘り返しても、何も出ない。
監督が「今日は埋め戻して終わり」と合図した。
転圧の振動にまぎれて、あの間隔の音が一、二——そこで止む。
静けさが戻った直後、靴底の裏を、内側から指で軽くたたかれた気がした。
この怪談は、実際の写真から着想を得て構成されたフィクションです。



