警察署の落とし物保管室には、数え切れないほどの傘や財布、眼鏡が並んでいたそうです。
その棚の奥には、記録にないはずの鞄がひとつ、いつの間にか置かれていたといいます。
鞄の中には、使用期限のない定期券や、宛名の消えた封筒が入っていたそうです。
誰のものとも分からないのに、署員が近づくたび、定期券の顔写真だけがわずかに違って見えたといいます……。
やがて、棚の中の“持ち主不明”の落とし物が、少しずつ数を減らしていたそうです。誰かが引き取りに来た記録はなく、監視カメラにも映像は残っていなかったといいます。
しかしその翌朝、引き取りのサインだけが一枚分ずつ増えていたそうです。署員の誰も、筆跡に覚えがなかったといいます……。
その保管室には今も、時折新しい落とし物が増えているそうです。届けられていないはずの品々が……。
この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。
落とし物最多33万件 茨城県内 経済活動回復 影響か 県警まとめ
【茨城新聞】落とし物最多33万件 茨城県内 経済活動回復 影響か 県警まとめ 4年連続増茨城県内の警察署や交番に昨年1年間に届けられた落とし物(拾得物)が33万6843件に上ることが25日までに、県警のまとめで分かった。4年連続で増加し、2008年に統計を始めて以降、最多となった。コロナ禍が明け、経済活動が回復したことが影響し...