写真怪談 風鈴の底に閉じ込められた夏 風鈴は、風が鳴らすものだと思っていた。けれどこの街の骨董市で見つけた風鈴は、違った。透き通る硝子の中には、小さな魚のような形の気泡が浮かんでいる。覗き込むと、その魚がわずかに尾を振っているように見えた。風に揺れると、澄んだ音が響く――しかし... 2025.09.04 2025.10.12 写真怪談土地と風習日常の崩れ
お知らせ 格闘ゲームにまつわる怪談紹介 2025/10/10新作『声を預けた大会』を追加しました。2025/09/23新作『もう一人の対戦者』を追加しました。某格闘ゲームの世界大会が、今年も熱気を帯びてきました。当サイトの管理人も、その高まりにあてられているひとりで、最近は道着キ... 2025.09.19 2025.10.11 お知らせ
写真怪談 喰声の鯱 この街に残る古い瓦屋根には、必ず黒い鯱しゃちほこが据えられている。それは「火除け」と呼ばれてきたが、本当は——人を喰らわせるためのものだった。江戸の頃、度重なる火事で町は焼け落ち、住民たちは「火の神」を鎮めようと生贄を差し出した。選ばれた者... 2025.09.11 2025.10.01 写真怪談土地と風習存在のゆらぎ日常の崩れ
写真怪談 器の底に沈む影 昼下がり、赤いカウンターに置かれたラーメン。湯気の立ち上るその姿に、私は妙な既視感を覚えた。スープをすくうと、表面に浮かぶ油膜が人影のように揺れる。偶然だと思いながら麺を持ち上げた瞬間、空気がざわりと震えた。麺は口に運んでも減らなかった。何... 2025.09.04 2025.10.01 写真怪談日常の崩れ時のひずみ
写真怪談 排熱の下で息をするもの 雑居ビルの裏手。昼間はただの退屈な景色──自転車、カラーコーン、並んだ室外機。だが、この場所を深夜に通る人は少ない。なぜなら、室外機から出る温風が「規則的すぎる」からだ。ブォオオ、と吹き出す音と風の間隔が、どの機械もぴたりと揃っている。まる... 2025.09.09 2025.10.01 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ機械知のほとり
【ウラシリ】怪談 赤い月と逆さに動く国 赤い月が沈んだ翌夜、都の高層ビルに異界の囁きが差し込んだそうです。深夜、総理の辞任が発表されると、国中の時計が一斉に狂い始めたといいます。針はゆっくり逆回転し、時報は歪んだ共振を伴って廊下に響いたそうです。議場の窓ガラスに血のような朱が滲み... 2025.09.08 2025.10.01 【ウラシリ】怪談日常の崩れ時のひずみ記録と痕跡
写真怪談 高層の窓に降りてくるもの 高架下から見上げると、白い高層マンションの窓が並んでいた。二十階あたりの窓に、何かが張りついているのが見えた。人影のように見えるが、その高さからは細部など判別できるはずがない。だが確かに、そいつの目は――真下に立つ自分と焦点を合わせていた。... 2025.09.30 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ時のひずみ
【ウラシリ】怪談 鉄道ホームに潜む余白 とある地下鉄の駅で、刃物を持った男が乗客を切りつける事件がありました。利用客が逃げ惑い、構内は騒然となり、数人が負傷したと報じられています。数日後には落ち着きを取り戻し、いつもの朝夕の混雑が戻ったそうです。けれども、その頃から妙な報告が増え... 2025.09.30 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 風がやってくる日 都心の高層ビル群の谷間に、銀色の風が吹き抜けたそうです。その風は、明らかに普通の風ではなかったといいます。午後3時過ぎ、街路樹の葉が突然渦を巻き、信号機の赤ランプの光が歪み始めたそうです……。人々は立ち止まり、空を見上げていたといいます。そ... 2025.09.30 【ウラシリ】怪談日常の崩れ機械知のほとり記録と痕跡
写真怪談 連鎖する物音 駅の地下通路に、灰色のカプセルが並んでいた。コワーキングスペースとして普及してから数年、もはや日常の一部でしかない光景だ。彼もまた、そこを通り過ぎようとした。だが、二番目のカプセルの前で足が止まった。――コツ、コツ、コツ……。中から微かな音... 2025.09.10 2025.09.29 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ機械知のほとり
【ウラシリ】怪談 自販機の暗がり 夜の商店街で、自販機の前に立つと、硬貨を入れる前から機械が低い唸りを上げていたそうです。まるで待っていたかのように、赤いランプがひとつだけ瞬いていたといいます。選んだのは普通の缶コーヒーでした。落ちてきた音は確かにしたのに、取り出し口には何... 2025.09.11 2025.09.29 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ機械知のほとり
写真怪談 呼び続ける緑の受話器 駅の地下通路に置かれた二台の公衆電話。鮮やかな緑色のその筐体は、今やほとんど誰も振り向かない。しかし、深夜零時を過ぎると、必ず片方の受話器が持ち上がっている。誰も触れていないのに、受話口からかすかな呼吸音が漏れ、耳を近づけると低い声が呟くと... 2025.09.10 2025.09.29 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 貨物室に残された影 非常灯が赤く明滅するたび、貨物室の奥に影が揺れていたそうです。それは人の姿に似ていながら、輪郭は長く歪み、煙の中で形を持とうとするたびに空気が軋む音がしたといいます……。異変の始まりは警告灯でした。貨物室の扉が震え、低く濁ったアラームが機内... 2025.09.13 2025.09.29 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 片道切符の白昼夢 八月の終わり、蒸し暑い駅構内で私は切符を買おうとしていた。緑色の機械の前に立つと、背後のざわめきが一瞬、すっと消えた。耳鳴りのような静寂の中、液晶画面に映ったのは、目的地の一覧ではなく、見覚えのない「夏の日」という行き先だった。冗談かと思い... 2025.09.14 2025.09.29 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ時のひずみ
【ウラシリ】怪談 白い閃光の後、ずれた時刻 とある火山の監視カメラが白い光に包まれた夜、住民の証言は奇妙に食い違っています。ある女性は、光の直後に壁時計が三分進んでいたと話します。だが隣家の老人は「同じ瞬間に時計が五分戻っていた」と証言しました。二人は同じ時刻に同じ空を見ていたはずな... 2025.09.13 2025.09.29 【ウラシリ】怪談日常の崩れ時のひずみ記録と痕跡
写真怪談 狐面の飲み方 翌年の夏祭り、私はまたあの通りに足を踏み入れた。雑踏の中に、赤い狐面を被った者がいた。髪は短く、面も顔の上半分を覆うだけの簡素なもの。去年の女とは明らかに別人だった。だが、私には分かってしまった。――あの目が、去年と同じまばたきをしていたか... 2025.09.29 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ
写真怪談 黒雲の下、橋の向こうで待つもの 夜祭の最終日。送り火を控えた河原はすでに立入禁止となり、橋の入り口には監視員たちが列を成して立っていた。「ここから先は入れません」通りかかる人々にそう告げる声が夜気に溶けていく。だが、河原には誰一人いないはずだった。ふと、一人の監視員が違和... 2025.09.29 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ
工房制作記録 アイキャッチ制作記録 サイトに常設する案内ページ「AI怪談工房のご案内」のために、アイキャッチ画像を制作しました。その過程では、AIによる画像生成の得意な部分と苦手な部分が、思いがけず浮かび上がることとなりました。ここでは、その試行錯誤の記録を残しておきます。目... 2025.09.27 工房制作記録