駅の怪異

【ウラシリ】怪談

鉄道ホームに潜む余白

とある地下鉄の駅で、刃物を持った男が乗客を切りつける事件がありました。利用客が逃げ惑い、構内は騒然となり、数人が負傷したと報じられています。数日後には落ち着きを取り戻し、いつもの朝夕の混雑が戻ったそうです。けれども、その頃から妙な報告が増え...
写真怪談

連鎖する物音

駅の地下通路に、灰色のカプセルが並んでいた。コワーキングスペースとして普及してから数年、もはや日常の一部でしかない光景だ。彼もまた、そこを通り過ぎようとした。だが、二番目のカプセルの前で足が止まった。――コツ、コツ、コツ……。中から微かな音...
写真怪談

呼び続ける緑の受話器

駅の地下通路に置かれた二台の公衆電話。鮮やかな緑色のその筐体は、今やほとんど誰も振り向かない。しかし、深夜零時を過ぎると、必ず片方の受話器が持ち上がっている。誰も触れていないのに、受話口からかすかな呼吸音が漏れ、耳を近づけると低い声が呟くと...
写真怪談

止まらないエスカレーター

その駅のエスカレーターには、奇妙な特徴がある。乗れば必ず下に降りていくはずなのに、いつまでも地上階にたどり着かない、という。初めて体験したのは、会社帰りの夜だった。疲れていたせいか、足が勝手にそのエスカレーターに吸い寄せられるように乗ってし...
写真怪談

両替機の裏口

深夜の駅構内、人気のないロッカー横に一台の両替機が佇んでいた。旅先で小銭を必要とした青年は、迷わず千円札を差し込む。機械は規則正しく唸り、硬貨が落ちるはずの口から──何も出てこなかった。不審に思いながらも覗き込むと、空洞の奥にもう一枚の札が...
【ウラシリ】怪談

受領簿の筆跡

落とし物センターに傘を取りに来た人がいたそうです。しかし駅員は「すでに受け取り済み」と答えたといいます。受領簿を見せられると、確かにその人の名前が書かれていたそうです。ただ、その筆跡は本人のものではなく、誰かが拙く真似たような字だったといい...