写真怪談 電線にぶら下がるもの 夕暮れの雲が低く垂れこめ、電線の黒い線が空を裂いていた。その下を歩いていた二人の通行人は、ふと立ち止まった。風もないのに、頭上の一本の電線だけが震えていたからだ。その揺れは徐々に大きくなり、やがて異様な音が混じった。——声だ。それも、電線の... 2025.08.13 2025.10.02 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 赤い月を結ぶ指 その夜、ふと見上げた月は血のように赤く、電線に縫い止められているように見えた。不思議と視線を逸らせず、じっと見続けているうちに気づいた。電線が震えている。風のせいだと思ったが、夜気は凪いでいた。よく見ると、一本の線の結び目に、白く細い指が絡... 2025.09.08 2025.09.15 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ