境界

写真怪談

緑灯の訪問者

深夜零時、共用廊下の緑灯が一瞬だけ薄くなる――その翌朝、老夫婦の玄関には見知らぬ「来訪札」が貼られていた。
写真怪談

網目の零番

夕暮れのテニスコート脇、ゴルフ練習場の防球ネットを見上げた一枚に“欠けた網目”が残った――その空白は、拡大するたび位置を変える。
写真怪談

欠席格子

日曜の朝、誰もいない校門で、ネットの一マスだけが“塞がって”いました。
写真怪談

目地が増える

舗道の円い蓋のまわりだけ、苔が“縫い付けられた”ように増えていく──その写真が、いつの間にか更新されていた。
写真怪談

まわり道→

工事で塞がれたいつもの裏道――「まわり道→」に従った先で、見慣れた街の“綻び”に気づいてしまう。
ウラシリ怪談

玄関がまだ外だった

「裏から見ても同じに読める」札を玄関に掛けた家で、境目そのものが迷いはじめた――そんな噂です。
写真怪談

花壇の黒い輪

珍しく雪が降った翌日の公園、花壇を区切る黒いロープを見た夕方から、手首にだけ“輪”が残りはじめた。
写真怪談

席は窓際

閉店したはずのショーウィンドウが、内側から曇る夜がある——短冊の「本日おすすめ」が、なぜかあなたの席を決めてしまう。
写真怪談

緑道の架線に吊る赤

川と車両基地の間の緑道で、赤い「停止」がこちらに向いていることに気づいた夜から、影が遅れて動きはじめた。
写真怪談

防音壁の継ぎ目

左右の防音壁に挟まれた無人のランプで、検知ログだけが“通過”を刻み続けた──消えたのは車か、それとも記録か。
写真怪談

壁画トンネルの影

海の壁画が残る薄暗いトンネル。出口の白い柵が近づかないとき、あなたの足元から“何か”が剥がれていく。
写真怪談

紙垂の影

いつもと違う路地を抜けたら、参道の入口が「最初からそこにいた」みたいに近くて――塀の上の鳩と紙垂が、静かに心をほどいていく話。
写真怪談

結び目のないブリキ缶

住宅地の中の農家、その納屋口で“いつもはすぐ消える猫”が動かなかった日――黄コンテナの上のブリキ缶は、ほどけない形で縛られていました。
写真怪談

一輪車の戻り跡

住宅地の裏の貸し畑で、白い防虫ネットの弧が“数えたぶんだけ”増えていく。
写真怪談

狐壇の通路

五色の房が揺れる夜、白い狐たちが並び替わって“通路”をつくる――その先で、誰かの小さな願いがそっと帰ってくる。
写真怪談

外周フェンスの目数

誰もいない放課後の校庭を、フェンスの外から見ただけだった。それなのに、金網の目がこちらを数え始める——。
写真怪談

靴だけ

休憩に入った瞬間だけ、トラックの下に“靴だけ”が立つ──畑の匂いを連れて、境界のほうへ一歩ずつ近づいてくる。
写真怪談

網目の欠け

畑と道を分けるオレンジのネット。その“弛んだ一点”をスマホで確かめた瞬間、三人の影が四つになった。