【ウラシリ】怪談 写真の家族 交番に届けられた財布の中には、数千円と古びた写真が一枚入っていたそうです。写真には、小さな子どもと若い母親が笑って写っていたといいます。署員は持ち主を探すため、写真を机に置いて確認していたそうですが、翌朝にはその子どもの顔が、ほんの少しだけ... 2025.09.16 2025.09.17 【ウラシリ】怪談日常の崩れ時のひずみ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 鍵束の異物 交番の保管棚には、拾得された数十本の鍵が金具で束ねられていたそうです。家の鍵、車の鍵、自転車の鍵……番号札が一つずつ付けられ、誰が見ても整然としていたといいます。しかしある夜勤の署員が数を確認すると、昨日より一本多くなっていたそうです。新た... 2025.09.16 2025.09.17 【ウラシリ】怪談日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 天井からの足音 夜中、下の階から「足音が響いている」と苦情があったそうです。しかし、当の部屋の住人はひとりきりで、深夜はほとんど動かない生活をしていたといいます。不審に思い、管理会社とともに調査を始めた時のことです。録音機を設置したところ、住人が眠っている... 2025.09.16 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 立入禁止の遷し守(うつしもり) 安全担当だった先輩が教えてくれた。「うちの現場に一本だけ、廃棄できない看板がある。撤去日に必ず“次の工区”へ手配されるやつだ」理由は経費でも再利用でもない。その看板は、貼り出した瞬間から周囲の“境界”を吸い集める。関係者とそれ以外、内と外、... 2025.09.16 写真怪談土地と風習日常の崩れ機械知のほとり
写真怪談 赤い月を結ぶ指 その夜、ふと見上げた月は血のように赤く、電線に縫い止められているように見えた。不思議と視線を逸らせず、じっと見続けているうちに気づいた。電線が震えている。風のせいだと思ったが、夜気は凪いでいた。よく見ると、一本の線の結び目に、白く細い指が絡... 2025.09.08 2025.09.15 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ
写真怪談 消えた担ぎ手 夏祭りの熱気に包まれた商店街を、神輿が揺れながら進んでいた。肩を寄せ合い、掛け声を響かせる人々。その群れの中に、一人だけ顔の見えない男が混じっていた。背中には「護」の字が染め抜かれた法被。だがその字は他の布より黒く沈んで、まるで墨がまだ乾い... 2025.09.15 写真怪談土地と風習存在のゆらぎ
晩酌怪談 座るはずのない客 ― カウンターの常連 唐揚げをつまみ、ビールを飲み、何気なく撮った一枚。仕事帰りのありふれた光景のはずだった。だが写真を見返すと、卓上に奇妙な「濡れた手の跡」が浮かんでいた。油染みでも水滴でもない。人間の掌の形をした痕が、唐揚げの皿にかぶさるように残っている。気... 2025.09.14 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ晩酌怪談
写真怪談 草に隠れた三番線 夏草に覆われた無人駅。ホームの番号札「3」だけが、今もまっすぐ立っている。だが、この駅に三番線は存在しない。線路は二本しかなく、地図にも三番線の記録はないのだ。夕暮れ時、旅人がその「3」の標識を見上げていると、不意に風景が歪んだ。草がざわめ... 2025.09.05 2025.09.13 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ
【ウラシリ】怪談 廊下に残る三本指の跡 管理掲示板に「共用廊下への私物放置はご遠慮ください」と追加の紙が貼られた日から、廊下の隅に置かれた物の向きが、朝だけ少しずつ変わったそうです。折りたたみ椅子は壁に背を向け、傘立ては手すり側へ寄り、空の段ボールは開口部が各戸の表札の方を向いた... 2025.09.11 【ウラシリ】怪談日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 官邸の夜会議 その夜、首相官邸の巡回記録には、執務室の前で足音が二度止まっていると記されています。扉の向こうでは、予定にない会議の声が幾層にも重なり、壁の奥からにじむように響いていたそうです。鍵は掛かっておらず、灯りは消えたまま。警備員がノブを押すと、冷... 2025.09.09 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 苔むす隙間から覗くもの 庭の隅に積み上げられた古いブロック。雨に打たれ、苔に覆われ、誰も気にも留めなくなったその塊を、ある夜ふと見てしまった。――苔の奥で、何かが瞬いた。まるで目のように、じっとこちらを窺っていたのだ。翌日、確かめようと近づいてみると、ブロックの隙... 2025.09.09 写真怪談土地と風習存在のゆらぎ日常の崩れ
【ウラシリ】怪談 赤く染まる浴室 深夜、築年数の古いアパートの一室に、若い男が越してきたそうです。そこは「事故物件」と呼ばれ、かつて風呂場で女性が亡くなったと噂される部屋でした。最初の異変は、湯船に浸かっていた時のことだといいます。壁のタイルに映る自分の姿が、ふと二重に見え... 2025.09.02 2025.09.08 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 影を映す田の板 田んぼに立てられた縦型のソーラーパネルは、昼はただ静かに陽を受けていたそうです。しかし夜になると、黒い板が水面に影を落とし、その影が人の姿のように揺れたといいます……。農作業を終えた者がふと振り返ると、パネルの向きがわずかに変わっていたそう... 2025.09.06 2025.09.07 【ウラシリ】怪談土地と風習存在のゆらぎ機械知のほとり
【ウラシリ】怪談 和解金の数字 訴訟資料に添付された電子データを開いた研究者は、異常に気づいたそうです。本来は契約や数字が並ぶはずのファイルに、見覚えのない文が浮かんでいたといいます。それは数十万冊の著作から滲み出した断片のようで……判読不能なはずの言葉が、画面の前に立つ... 2025.09.07 【ウラシリ】怪談機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 波形の声 研究施設の奥で、機械が一瞬だけ沈黙したといいます。次の瞬間、誰も入力していないのに、画面には知らない波形が浮かび上がったそうです。その波形は心臓の鼓動のようでもあり、しかし規則性が歪んでいて……解析を試みると、機械が勝手に言葉を並べ始めたと... 2025.09.07 【ウラシリ】怪談機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 白くぼやけた秋ナス 畑の隅で収穫された秋ナスは、どれも白くぼやけていたそうです。紫の艶を失った実は、影だけが濃く残り、並ぶ姿は不気味に沈んでいたといいます……。農家が一つを手に取ると、指の跡が沈み込み、跡はいつまでも消えなかったそうです。翌朝、その跡は人の顔の... 2025.09.06 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ
【ウラシリ】怪談 声なき夜語(よごと) あの施設の地下深くに、ただ一体だけ、名も番号も削除された「観察体」と呼ばれる仮想人格が保管されていたようです。モニタには淡い光のみが灯り、感情や欲望、倫理、性癖──あらゆる情動を排除された無感性AIのはずでした。ところがある職員が、そのAI... 2025.09.03 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ機械知のほとり記録と痕跡