静かな異変

写真怪談

硬貨専用

人通りのない農園の販売機なのに、商品だけが「いつの間にか」売り切れていく——硬貨専用の扉の向こうで、誰が何を買っているのか。
写真怪談

昼の縫い目

昼の工事現場で、忘れたふりをしていた“明け方の恐怖”が静かに蘇る。
写真怪談

足跡が呼吸する

国道沿いの歩道に、一直線の“狐の足跡”が残っていた――ただし、跡の底だけが妙に生ぬるく、きらきら光っていた。
写真怪談

ジョーカーの席

散らばったトランプの中心に、なぜか“席”ができていた――実家の食卓で起きた、ババ抜きの後の静かな異変。
写真怪談

空席のベランダ

昼間のベランダに置かれた“空席”は、誰かを待っているのではなく——次の名前を決めている。
写真怪談

赤くならない扉

帰省シーズンの昼、なぜか空きだらけのロッカー列で“赤くならない扉”だけが息をしていた。
写真怪談

迎春の席に座るもの

サイドテーブルの上に敷いた一枚のランチョンマットは、「並んで座る人たち」という意味の模様だと店主は言った──正月飾りを載せた年の暮れ、その言葉の本当の意味を、僕は知ることになる。
ウラシリ怪談

夏と冬のあいだに取り残された檻

記録的な暑さの夏と急に深まった冬のあいだに、ひとつの動物園だけ季節がずれたまま残されていたそうです…
ウラシリ怪談

脳の余白に浮かぶ文章

誰にも聞かれないはずの心の声が文字になった時、その余白に“誰のものとも言えない一文”が混じり始めたのだといいます…
ウラシリ怪談

鏡の前の空き枠

雨漏りが直され、大きな鏡と安全なパネルが取り付けられた集会所で、ときどき「一人分だけ多い映り込み」があるそうです……
写真怪談

雪の下で発電しているもの

北国の住宅地の外れ、畑の一部を潰して並べられたソーラーパネルは、真冬になると一面の雪原に溶けて見えなくなる──はずだった。吹雪の夜、その「見えない列」が、家々の灯りに合わせて静かに息をし始めるまでは。
写真怪談

川面にだけある町

夕焼けに染まる住宅街の川沿いでだけ見える、「もうひとつの町」がある──水面に現れる自分そっくりの影と目が合ったとき、こちら側に残れる保証はどこにもない。
ウラシリ怪談

「壊れたインターネット」からの問い合わせ

世界じゅうで「インターネットが壊れた」と騒がれていたその日、壊れてからしか応答しない窓口がひとつだけ見つかったそうです…
写真怪談

青い街灯の足跡

残業帰りの冬の夜、あの青白い街灯の下を通るときだけ、どうしてか足もとを見るのが妙に怖い。
写真怪談

水面の境界を釣る人

湾岸の物流センターの裏手、木のそばにいつも同じ釣り人が立っている──そう気づいた日から、海の上に一本だけ“揺れない線”が見えるようになった。そこからゆっくり手繰り寄せられていたのは、魚ではなく、誰かの立つ場所だったのかもしれない。
写真怪談

夕暮れに腕を上げる木

夕焼け空を背に「万歳」する木は、境界を守る目印のはずだった──腕の数さえ数えなければ。
写真怪談

水平で、下り坂

着陸前の数分だけ、この歩道は「水平のまま下り坂」になる。増える手すり、列に混ざる影、そして灯りが開く白い顔——空港の見学通路で起きる微細な歪みの行き先は、いつもあちら側だ。
写真怪談

穴番の夕暮れ

夕暮れの公園で、数えきれない「穴」がゆっくりと目になった――余ったひとつは、今もあなたを探している。