写真怪談 フックは引き返さない 夜の車庫は、いつも音がない。舗装の隙間に草が生え、壁には錆が広がり、それでも点検記録だけはきちんと並んでいる。どれだけ年月が過ぎても、使われていない車両のエンジンには、毎月一度、点検の朱印が押されていた。その車両もそうだった。型式の古いレッカー車。既に部品も揃わず、車検も切れているのに、なぜか廃車にされず、隅に押し込められたままになっていた。誰からともなく、こう言われていた。「あれの前に立つな」「... 2025.08.03 写真怪談存在のゆらぎ