写真怪談 呼吸する壁 その空き部屋は、ビルの管理会社のあいだでも厄介者扱いされていた。テナントが退去して以来、なぜか工事が中断されたままになり、仮設の黄色い壁だけが立てられている。電気は通っているが使う予定はなく、ただ放置され、時おり巡回の警備員が足を踏み入れる... 2025.08.20 2025.10.02 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 斜路(しゃろ)の壁 都心の繁華街の片隅に、緩やかな坂道が一本ある。観光客は通らず、地元の人も足早に通り過ぎるだけ。その坂の途中、ある建物の外壁が数年前から不気味な模様で覆われていると噂になっていた。それは、黒地に青と白の抽象画。雲のようなもの、花のようなもの、... 2025.08.06 2025.09.03 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ時のひずみ記録と痕跡
晩酌怪談 壁に染みる声 居酒屋のカウンターに腰を下ろし、瓶ビールを注文した。料理が運ばれ、グラスを傾けながらふと壁に視線をやると、妙なことに気づいた。白い漆喰の壁に、なぜか濡れたような染みが浮かんでいる。ただの水跡に見えるのに、じっと眺めていると輪郭が人の横顔のよ... 2025.08.22 2025.09.03 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ晩酌怪談
写真怪談 壁の奥から来る女 商店街の裏路地、壁一面に描かれた西洋の街並みの絵。色褪せながらも遠近感が見事で、通りすがりの人は思わず足を止めてしまう。ある夜、飲み会帰りの私は、その壁の前でバイクを止め、タバコを吸っていた。煙越しに壁を見ると、絵の中の通りを白い服の女がこ... 2025.08.15 2025.09.03 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ
写真怪談 耳の中の声 その象の絵は、ある日突然この壁に現れた。店の店主も、近所の誰も、描いたところを見ていない。だが、近くを通ると妙なことが起きる。耳元で、自分の名前を呼ばれるのだ。振り返っても誰もいない。しかし、黄色い象の耳の中に視線を向けると、ひび割れたペン... 2025.08.15 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ