写真怪談 苔むす隙間から覗くもの 庭の隅に積み上げられた古いブロック。雨に打たれ、苔に覆われ、誰も気にも留めなくなったその塊を、ある夜ふと見てしまった。――苔の奥で、何かが瞬いた。まるで目のように、じっとこちらを窺っていたのだ。翌日、確かめようと近づいてみると、ブロックの隙間から湿った空気が吐き出されるのを感じた。耳を近づけると、小さな声が重なり合って囁いていた。「……重い……暗い……冷たい……」昔、この家の前にあった古井戸を塞ぐ... 2025.09.09 写真怪談土地と風習存在のゆらぎ日常の崩れ