とある火山の監視カメラが白い光に包まれた夜、住民の証言は奇妙に食い違っています。
ある女性は、光の直後に壁時計が三分進んでいたと話します。だが隣家の老人は「同じ瞬間に時計が五分戻っていた」と証言しました。二人は同じ時刻に同じ空を見ていたはずなのに、示す時間だけが逆方向にずれていたそうです。
浜辺にいた青年は、波打ち際で友人と立ち尽くしていたはずが、気づけば数十メートル離れた場所に移動していたといいます。本人には一歩も歩いた覚えがなく、友人も「ずっと隣に立っていた」としか言わなかったそうです。
さらに監視カメラの映像には、一秒ほどの空白が残されていました。光の直前と直後の映像は記録されているのに、その間だけファイルが欠落していたといいます。機器の不具合と片づけられましたが、別の角度のカメラも同じ瞬間に“無音の静止”を記録していました。
異変は短時間で収束し、時計も映像もやがて整合したとされます。ただ、あの夜を経験した人々は今も「周囲の動きが半拍遅れて聞こえる」瞬間に、ふと立ち止まることがあるそうです……
この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。
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