四袋目の水やり日

ウラシリ怪談

ある住宅地では、秋の終わりになると、集めた落ち葉を黒い袋に詰め、空気の通る穴をいくつもあけて寝かせておく家が増えたそうです。二週間おきに様子を見て、乾いていれば少しだけ水を足す。春になれば、森の床のような黒い土になる……そんな読み物が静かに広まった年のことでした。

その家でも、三袋ぶんだけ作るつもりだったそうです。花壇に敷く分、鉢土に混ぜる分、境木の根元へ回す分。口を縛った袋には日付を書いた札が結ばれ、物置の脇に三つ並べられていたといいます。

年が明けるころ、袋は四つになっていたそうです。増えた一つだけ札がなく、通気の穴も妙にきれいで、内側だけがわずかに湿っていたといいます。その家で集めたのは細かい葉ばかりだったはずなのに、その袋のそばでは、夜になると、厚く大きな葉が擦れ合うような音が長く続いたそうです。

二週間おきに軽く湿らせるたび、四つ目だけが少しずつ重くなったといいます。葉は沈んで嵩が減るはずなのに、持ち上げると、中でゆっくり体勢を変えるような遅い重みが返ってきたそうです。寒い朝でも、穴の縁だけは吐息を当てたみたいに濡れていたとも聞きます。

春先、札のある三つはたしかに黒く崩れた土になっていました。指でつまむとほろりとほどけ、湿った森の匂いがしたそうです。けれど札のない袋だけは、口をほどいた時、中身が袋の形のまま崩れなかったといいます。黒く砕けた土なのに、そこには誰かが膝を抱えて座っていたものが、ついさっき立ち上がったあとのような窪みが残っていたそうです。

気味が悪くて、その袋だけは縛り直し、物置の脇へ移したそうです。ほかの三つは花壇へ三インチほど敷かれ、雑草はたしかに出にくくなり、乾きも遅くなったといいます。ただ、その夜から、勝手口の内側だけが決まって湿るようになったそうです。雨のない日でも、たたきに丸い水の点がいくつも並び、袋にあけた通気孔とよく似た並び方で、朝まで消えなかったといいます。

四つ目の袋がなくなったのは、その三日後だったそうです。破れた袋も中身も、物置の脇には残っていませんでした。ただ、黒い土が細く続いていて、それは勝手口のところで途切れていたそうです。戸は内側から施錠されたままで、靴底の跡もありませんでした。

その家で最初に落ち葉を集めた人は、その夜、いつも通りに寝たそうです。翌朝、布団の上掛けは胸のあたりまでふくらんだままだったのに、その下に人の身体はなかったといいます。代わりに、敷布団の上には黒い土が人ひとりぶん、仰向けに寝ていた形のまま残っていたそうです。厚みは三インチほど。顔のあるはずの位置は浅く沈み、肩、腕、腰、膝の輪郭まで、不自然なくらい整って見えたといいます。

その黒い土を崩したとき、胸のあたりから湿った札が一枚出てきたそうです。袋に結んだ覚えのない札でした。日付だけが書かれていて、それはちょうど、その日から二週間後だったといいます。

以来、その家の勝手口の内側は、その日付が近づくたびに少しずつ湿るのだそうです。厚く大きい葉は二年ほど崩れ切らないことがある、と読んだ人もいたそうですが……あの札の日付が、まだ何回ぶん残っているのかは、誰も数えないそうです……そんな話を聞きました。

この怪談は、以下の記事をきっかけに生成されたフィクションです。

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