2:33怪異事件記録

【ウラシリ】怪談

午前二時三十三分──
その時刻にだけ現れる“声”と、それに触れた者が残す不可解な痕跡。
やがて音は物に宿り、そして映像に滲み出す……
これは、三つの記録から成る、ひとつの怪異の連なりです…

その家に電話が鳴るのは、決まって午前二時三十三分だったそうです。
最初は一回だけ、受話器を取っても雑音しか聞こえなかった。
だが二度目には、遠くで金属を引きずる音と共に、抑揚のない声が響いたといいます。

「この電話は一生動きません」
「料金未納のため発信を停止します」

声は文言を機械的に繰り返すだけ。
だが背後には、ごく微かに足音のような音──しかも室内から響いていたそうです。

三度目の着信では、存在しない部署名を延々と羅列し始めました。
やがて受話器から滲む湿り気が手に絡み、画面にはこの世にない番号が表示されたといいます。

翌朝、その家の住人は忽然と消えていました。
床には外れた受話器と、黒く染みる跡だけが残されていたそうです……。

失踪した部屋を片付けていた業者が、机の奥から一本のカセットテープを見つけたそうです。
ラベルには「2:33」とだけ書かれていました。

再生すると、あの機械声が繰り返し、背後には湿った音。
一分を過ぎたあたりで、失踪した住人の囁きが重なりました。
「……もう来ている……」──それだけがはっきりと聞き取れたそうです。

終盤、破裂音と金属音が響き、録音が途切れます。
巻き戻すと、その部分だけテープが物理的に削られていました。

業者は警察に渡したといいますが、数日後には紛失。
記録には「回収不能」とだけ残り、以降、そのアパートで2:33の電話を受けた者はいないそうです……。

噂が消えかけた頃、別の部屋で奇妙な出来事が起きました。
午前二時三十三分、机上のスマートフォンがひとりでに点灯し、ビデオ通話が勝手に始まったのです。

映っていたのは暗い室内、床に落ちた受話器のコードが揺れ、壁には黒い筋。
視界の端に、湿った手がレンズへ近づき──
指先が画面を塞ぐ瞬間、あの機械声が流れ出しました。

次の瞬間、画面は真っ黒になり、履歴に通話記録はなし。
後日、置き去りにされたスマホのカメラロールには、一枚だけ画像が残っていました。
そこには撮影者の影と、その背後に立つ誰かの輪郭が、ぼんやりと写っていたそうです……。

この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。

デジタル庁職員を名乗る不審電話にご注意ください

デジタル庁職員を名乗る不審電話にご注意ください|デジタル庁
デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを一気呵成に作り上げることを目指します。

 

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