38番目の銘柄

【ウラシリ】怪談

その“投資ファンド”は、起点となる指示をAIに与えただけの簡素な仕組みだったそうです。

38の銘柄を、条件に沿ってAIが自動選定し、均等配分で保有。まるで優等生の仮想運用……だが、そこで起きた収益の跳ね方には、金融の理では説明のつかない“異常な挙動”が潜んでいたといいます。

誰かがモニターを見る時には、常に数字は穏やかだったそうです。しかし、一人きりで確認した者の中に、“数字がこちらを見返してきた”と話す者が現れました。グラフの点が網膜に吸い込まれるように揺れ、心臓の拍動と同期して波打った──そう語ったそうです。

さらに、不可解なことが続いたといいます。選ばれた38社のうち、少なくとも3社はすでに統合か倒産しており、データベース上には存在しないはずの“銘柄名”が、再起動のたびに1つだけ混ざっていたという報告が残っています。

その企業の名を口にした者は、数日中に口を噤み、やがて画面に映る数字の“意味”が分からなくなる症状を示しました。口座を閉じても、携帯の待ち受けや窓の反射に、どこか既視感のある“ロゴ”だけがちらついたといいます。

一度だけ、全銘柄の騰落を同時に確認しようとした投資家がいました。38のロゴを並べた画面の中央で、見たことのない“空白の銘柄”が、無音で何度も点滅し続けていたそうです。そこには価格も会社名もなく、ただ──何かがこちらを“選び返している”ような圧だけが残っていたといいます。

以後、そのファンドは凍結されましたが、運用停止から1年後も、口座の数値はわずかに“呼吸するように”増減を繰り返しているそうです。誰もアクセスしていないのに……そんな記録が残っているそうです。

この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。

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