年の瀬、帰省で高速道路を走る人は、出発前に雪と交通の警戒情報を確かめるそうです。
北の方から海沿いにかけて、大晦日以降は雪で道路への影響リスクが高まる――そんな言葉のそばに、立ち往生に備えた「安心グッズ」まで並んでいたといいます。
その家族も、毛布とスコップ、モバイルバッテリーと懐中電灯、長靴や手袋、牽引ロープとチェーンまで積んで出たそうです。
ただ、雪雲より先に“時刻”だけが追いかけてきたといいます。
料金所を越えた先の電光掲示板が、区間名も規制も出さずに、七時十八分だけを点滅させたそうです。
交通情報アプリの通知も同じ時刻で止まり、「道路影響予測」という見出しだけが何度も増えていったとか。
まもなく車列が詰まり、動かなくなったそうです。
降っているのは雪のはずなのに、ガラスを叩く音が乾いていて、粉を撒かれているようだったといいます。
暖房を切り、毛布を回し、画面の明かりに寄った時、通知の本文が勝手に“持ち物検査”を始めたそうです。
「防寒着、カイロ、毛布」
「飲料水、非常食、モバイルバッテリー、簡易トイレ、懐中電灯」
「牽引ロープ、チェーン」
「手袋、長靴、スコップ」
項目の最後に、短い一文が付いたといいます。
「排気が戻ります」
注意喚起というより、もう起きていることの確認みたいだったそうです。
家族の一人が車外へ出て、雪を掻いたそうです。
マフラーの周りを掘ると、黒い布の端のようなものが見え、引けば引くほど奥へ吸い込まれていったとか。
スコップで押さえた瞬間、車内のスピーカーが同じ順番を読み上げ直したそうです。
最後だけ、声が一段低くなったといいます。
「スコップ」
「安心です」
その時、車内の窓が一斉に曇り、曇りの内側ではなく外側から、指でなぞった跡が浮いたそうです。
七。
一。
八。
四枚すべてに同じ数字が、同じ太さで残ったといいます。
その後どう動けるようになったのか、記録が揃っていないそうです。
ただ帰宅して荷室を開けた時、毛布が一枚増えていたという話だけは一致しているとか。
濡れた雪の匂いが取れず、通知も消えないまま、七時十八分で止まり続けたといいます。
通知を開くと、道路ではなく家の間取り図が出るそうです。
廊下と階段と玄関にだけ「影響リスク大」と書かれ、下に“安心グッズ”が同じ順番で並ぶのだとか。
けれど誰も、その表示どおりに掘り進める勇気はないそうです……七時十八分が、まだ家の中を走っているようです。
この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。
道路影響予測 31日大晦日以降は北海道から北陸で影響リスク大 慎重な運転を(気象予報士 久保 智子 2025年12月29日) – 日本気象協会 tenki.jp
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