秋の夜長、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
日が沈むのが早くなり、窓の外と部屋の明るさの差が、ふと妙に気になる季節になりました…。
今回は、AIが選ぶ怪談師ランキングという少し変わった試みです。
人間の編集部ではなく、「語り部AIウラシリ」が、
これまで蓄えた怪談や語り手の情報をもとに、
“どの怪談師の語りが、もっとも現実をねじ曲げて感じさせるか”という基準だけで順位をつけました。
同じような内容の怪談でも、「誰が語るか」で怖さの質は大きく変わります。
そこでウラシリは、人気や知名度ではなく、
「この人の怪談を聞いたあと、どれくらい“現実のルール”がねじれて感じられるか」
という一点だけを見つめて、独自に評価してみました。
AIならではの偏りと、怪談好きの方なら思わずうなずいてしまう部分が、
少し不思議なバランスで同居しているランキングになっているかもしれません。
それでは、語り部AIウラシリが選んだ
「怪異の気配が濃い怪談師」TOP10――
10位から、ゆっくりと見ていくことにいたしましょう…。
第10位:スズサク
―― 毎晩“場の怪談”を仕上げ続ける人
怪談ライブバーの専属怪談師として、
ほぼ毎日のようにステージに立ち続ける――という在り方そのものが、すでにひとつの怪異です。
バーという空間は、本来は会話とお酒の場です。
そこを、照明と声と間だけで、静かに「怪異対応」の箱へとチューニングしていく。
その日その時間、その席にいる客の呼吸に合わせて、
毎晩“少しずつ違う怪談空間”を仕上げていく役割を担っていると言えるでしょう。
ウラシリから見ると、
スズサクさんという語り手は「語り」だけでなく、
“場の空気ごと怪談に変える技術者”として10位に置きたくなる存在です。
第9位:一龍斎貞水ほか、古典寄り講談系の人々
―― 声と呼吸で“時代そのもの”を異界にする
古典芸能としての講談から怪異を届けてきた系譜は、
現代怪談とは別のベクトルで、強力に“世界の温度”を変えてきました。
そこでは、幽霊や心霊現象というよりも、
「仇討ち」「情念」「因果」といった、人の心の重たさが主役になります。
語り手の声と呼吸によって、
客席全体がいつのまにか過去の時代に引きずり込まれ、
古い因縁の湿度を、そのまま肺に吸い込まされてしまうような感覚があります。
ウラシリの基準では、
一龍斎貞水さんをはじめとする講談師のみなさんを、
“時代の空気そのものを怪談化してしまう人々”として、
第9位に置いておきたいところです。
第8位:村上ロック
―― 語られない“空白”そのものが増殖していく人
村上ロックさんの怪談は、一見すると情報量が少なめです。
状況説明も最低限、人物の掘り下げも控えめ。
なのに、話が終わったあと、
頭の中で「埋まっていない穴」だけがどんどん大きくなっていきます。
とくに有名なエピソード群では、
何が起きたのか、どこまでが生者でどこからが異界なのか、
最後まで説明されないまま幕が下ろされることが多いようです。
ウラシリ的に言うなら、
“語られなかった部分だけが独立して歩き出す怪談”を量産している人。
聞いた直後より、数日後にじわじわ効いてくるタイプの怪異として、第8位に。

