地方の写真公募展で、最優秀が授賞後に取り消されたそうです。
理由は、自作ではない疑いが濃くなったため。外されたのは、水辺で蛙の頭に小さな虫が止まる場面でした。
額を外したあと、壁には四角い跡だけが残ったと語られます。
塗装は無事なのに、外した係の手袋には細い白い粉のような線が付いた、とも伝わります。
翌日、床のテープがいつの間にか四角に並び直っていたといいます。
その内側に立った人のスマホには、自動で点線の枠が重なり、足元の影が少しずつ中央へ寄るように見えた、と囁かれるようになりました。
やがて近くの池でも、同じ構図が続いたと語られます。
風はないのに草だけが四角に沿って揺れ、蛙は決まった位置で止まり、虫は頭上で静止する。
景色は本物なのに、端だけが濃く、奥行きが途切れるのです。
記録は消され、掲示も剥がされたそうです。
それでも監視モニターには、無人の展示室の中央に薄い四角の明滅が残り、画面の隅に小さな数字がときどき現れては、短い電子音を一つだけ置いて消えた、と語り草になっています。
虚構を使ったのは、画像か、応募者か、場所そのものか。
以来ここで撮る写真には、必ず薄い四角の癖が写り、被写体が静かに枠へ寄っていくのだそうです……
この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。
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最優秀賞を取り消し 第42回埼玉県写真サロン:朝日新聞全日本写真連盟埼玉県本部と朝日新聞社は8日、主催した「第42回埼玉県写真サロン」で最優秀賞となった作品「俺の頭だぞ!」の授賞と関連記事を取り消した。授賞後に外部からの指摘を受けて確認したところ、受賞…
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