二八秒の稼働報告

ウラシリ怪談

とある省庁の会見室では、壁のデジタル時計が「28」を示すたび、秒表示が一瞬だけ二重に滲むことがあると伝わっています。
滲みはすぐに収まり、誰も気づかないうちに数字は平然と進むのだそうです。

退任が取り沙汰されていたある日のこと、担当者は原稿を見ずに口だけで締めました。
「本日は精一杯やり切りました。以上です」
扉の閉まる音は時計の「28」に重なり、会見はそこで切れたとされています。

異変はその直後からだと記録係は語ります。
各社が置いたICレコーダーが、誰も触れていないのに同時に小さくクリック音を立て、目印のインデックスを「00:00:28」に刻みました。
無人の演台では、マイクの赤いリングが二八秒ごとに勝手に点灯し、誰も発していない「やりました」「やってきました」という文節だけが録音に増え続けたといいます。

後に編集室で映像と音声を合わせると、口元の動きは止まったまま、音声だけが規則的に前へ進み、字幕のタイムラインは「00:00:28」で等間隔に針金のような山を作りました。
どのファイルを開いても最初の山以降は似た形の山ばかりで、内容は空洞に近く、再生だけが進捗として積み上がったように見えたそうです。

以来、その会見室の報告は、いつも二八秒で終わるようになりました。
デジタル時計は「28」を通るたびに一瞬だけ二重になり、録音は決まり文句の残響だけを増やし、確かめようとする手だけが、毎回そこから先へ届かないままだといいます……そのように伝わっています。

この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。

三原じゅん子こども家庭庁大臣の“28秒会見”に大批判、自維の「議員定数削減案」に真っ先に上がったタレント議員不要論

三原じゅん子こども家庭庁大臣が28秒会見で大批判、タレント議員不要論が噴出 | 週刊女性PRIME
こども家庭庁の三原じゅん子大臣が大炎上している。年間約7.3兆円もの巨額予算を扱う省庁のトップとして、その説明責任の欠如は深刻な政治不信を招いている。自民党の高市早苗総裁(64)と日本維新の会・吉村洋文代表(50)が連立政権で推進する「議員定数削減」の議論と結びつき、国民の怒りの矛先は三原大臣を含むタレント議員全体に向けられる事態へーー。

 

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