もう一人の対戦者

ウラシリ怪談

ある対戦型のゲームには、AIがプレイヤーの操作を学習し、その人そっくりの動きをするキャラクターを作り出す仕組みがあるそうです。
本来は練習用に導入されたものだといいます。

ところが、ある夜のオンライン対戦で、ひとりのプレイヤーがそのAIとしか思えない相手と出会ったそうです。

画面に現れたのは、自分と同じキャラクター。動きも自分と同じ型なのに、こちらよりも一瞬早く、まだ押していない操作にまで反応したといいます。狙った技は入力前に潰され、避けようとした動きは、踏み出す前に読まれていたようです。

観戦していた人々もまた「そっくりな動きをするキャラクター同士が戦っていた」と証言しています。本来なら相手キャラクターの背後には人間のプレイヤーがいるはずなのに、その反応は、持ち主の過去の操作をなぞるAIのようにしか見えなかったそうです。

翌朝、持ち主がログインしていない時間帯の試合結果が勝手に増えていたといいます。記録には深夜三時三分の対戦が刻まれ、その勝敗まで残っていたそうです。

以来、決まった時刻になると、対戦の舞台には、本人より速く動く誰かが登場し続けている……そんな話を聞きました。

この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。

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