晩酌怪談

忘年の席数

駅前の居酒屋、普通の忘年会の写真。顔は写っていないのに、翌朝から「人数」だけが合わなくなる。
ウラシリ怪談

十二枚の無難

無難な十二枚に戻るだけの仕組みが、こちら側を“無難”に整え始めたらしいのです…
晩酌怪談

相席の締め

相席に通された席で、すでに潰れていた見知らぬ客——その「締め」だけが、なぜかこちらに回ってきた。
写真怪談

空席のベランダ

昼間のベランダに置かれた“空席”は、誰かを待っているのではなく——次の名前を決めている。
写真怪談

宛名のないプレゼント

クリスマスが終わる頃、駅前のプレゼント箱に“宛名”が浮かぶ夜がある。読んだ人は少し楽になって、代わりに何かを忘れていく。
ウラシリ怪談

スカスカの脚

「特別価格」の電話は切れるのに…空洞だけが増えていくらしく…
晩酌怪談

赤丸の値札が消えない夕方

十二月の午後四時、居酒屋の軒先で“数え直せない”ものが増えていく——赤丸のメニューが滲むとき、棚の並びも変わりはじめる。
写真怪談

赤くならない扉

帰省シーズンの昼、なぜか空きだらけのロッカー列で“赤くならない扉”だけが息をしていた。
写真怪談

植え込みの青い星が数える

クリスマスの植え込みに這う青い光――その点滅が「戻ってこなかった数」を覚えているとしたら。
ウラシリ怪談

検出された五秒から二十秒

見えない透かしを探すはずの検証がいつからか本物の会話の欠落を示すようになったのかもしれません…
ウラシリ怪談

面積のしきい値

市区町村を映すはずの盤面に、読めない“しきい値”が混じりはじめたようです…
ウラシリ怪談

空気の脂

空気から生まれたはずの脂が、台所の火で“言葉”を滲ませはじめたそうです…
ウラシリ怪談

灯りのないツリー

熱源のないツリーが燃えた夜…翌朝の庭には十一個だけ飾りが戻っていたそうです…
写真怪談

網目の出口と青いダウン

雨上がりの明け方、公園の出口にだけ“横断できない道路”が現れる——石畳の網目に引っかかった足跡は、青いダウンに剥がされていく。
写真怪談

赤と緑の立入禁止

冬の明け方4時、歩道を塞ぐ工事規制の中で、コーンの灯りが「消灯→緑→消灯→赤」を一斉に繰り返す――その信号は、誰のための“進め”なのか。
ウラシリ怪談

押印欄がひとつ多い

決裁が速くなったぶんだけ、押されるはずのない欄が一つ、毎晩増えていたそうです…
写真怪談

ひとつ上の段にいる

交差するエスカレーターには、“ひとつ上”へ引き上げられる影がある――その場所を通るたび、誰かが少しずつ減っていく。
写真怪談

交番のガラスに、次の顔

留守が多いはずの住宅街の交番に、珍しく警官がいた――ただ、瞬きもしないまま正面を見続けていて。