記録と痕跡

記録に残された痕跡は、時に説明できない異変を映し出します。

誰が残したのかも分からぬまま、その痕跡だけが確かに存在しているのです……。

写真怪談

交差影の結び目

深夜三時、杭よりも濃く伸びる影の“交差”を一度踏んでしまった――写真は、あとから数を増やしてくる。
ウラシリ怪談

未配達の行き先

手紙はポストに入ったのに、“届いたこと”だけが消えていく――未配達の行き先が、先にこちらへ届き始めました。
写真怪談

吹き抜け階段の「0階」案内

閉店後のモールで、緑の案内板が示した“存在しない階”——そこへ続く階段を上った人は、いつから「落とし物」になってしまうのか。
ウラシリ怪談

二日分のスタンプ

二日間だけのはずだった催しの記録が、終わったあとも“二十秒ずつ”増え続けるそうです。
ウラシリ怪談

鉄の匂いが戻る夜

受付で言った“決まり文句”が、家の中で増殖していく——鉄の匂いと一緒に。
写真怪談

消したはずの渦

住宅地の外れの角にある“程度の低い落書き”は、見るたびに少しずつ形を変えていった。
ウラシリ怪談

支払方法:空白

閉店中のはずの無人店舗で、回収しても回収しても“空白のレシート”だけが増えていくそうです……。
ウラシリ怪談

二枚目の白紙

投票所で「二枚目」を受け取った人がいた――その一枚は、返しても返しても、なぜか残り続けたそうです。
写真怪談

緑の金網に残る白

雪の昼、緑道のフェンス越しに見上げた焼けたアパート――画面の中だけが先に“季節をずらし”、消せない一枚になっていく。
ウラシリ怪談

空白の利用カード

「来館前に申請すれば、一週間で受け取れる」…そう書かれた案内ほど、後から“空白”が怖いものはないのです…
写真怪談

黄色いリベットと「Hello」

都内の高架下、黄黒の橋脚に貼られた「Hello my name is」だけが、なぜかいつも新しい――その理由に気づいた夜から、呼ばれるはずの名前が消え始めた。
写真怪談

筋交いの×

車庫の屋根を支えるはずの筋交いの「×」が、ある日から“記録”と“名前”の上にだけ、やけに正確に重なりはじめた。
ウラシリ怪談

二千五百一枚目の整理券

二千五百枚で終わるはずの整理券が、終わらなかったそうです…
写真怪談

架線の門の白点

夕暮れの線路写真を開くたび、同じはずの“白点”だけが近づいてくる。気づけば部屋の床に、二本の白い線が走っていた。
ウラシリ怪談

塩の隆線

焼けて消えるはずの指紋が、なぜか“紙からだけ”消えていったそうです…
写真怪談

No Graffitiの白塗り

高架下の「落書き禁止」掲示のそばに残る白い消し跡――あれが隠しているのは、塗料では消せない“輪郭”でした。
写真怪談

防音壁の継ぎ目

左右の防音壁に挟まれた無人のランプで、検知ログだけが“通過”を刻み続けた──消えたのは車か、それとも記録か。
ウラシリ怪談

廃止された黄色

廃止されたはずの黄色い袋が戻りはじめた町で…手引きの一行だけが毎回ちがう指示を告げたそうです…