【ウラシリ】怪談 休館日の返却 とある市の図書館が、システムメンテナンスのために一日だけ臨時休館したそうです。当日は、所蔵検索や予約、返却期限の延長といったオンライン機能はすべて停止、電子図書館のログインも不可と告知され、返却はブックポストか提携のコンビニ返却のみとされて... 2025.10.19 【ウラシリ】怪談日常の崩れ機械知のほとり記録と痕跡
写真怪談 ISO 0 ― 光が抜け落ちるカメラ 中古カメラの箱を開けた瞬間、ひどく冷たい空気が手にまとわりついた。金属の外装にわずかな擦り傷。クラシックデザインのデジタル機だった。触れた瞬間、まるで人の手の温度を覚えているような感触があった。だが、シャッターカウントは「00000000」... 2025.10.15 写真怪談存在のゆらぎ機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 洞窟に置き去りの袋 洞窟の入口付近に、色あせたスナック菓子の袋が落ちていたそうです。風も届かぬはずの奥へと、それは半ば埋もれるように置かれていました。誰が持ち込んだのか、いつからあるのかも分かりません。袋の表面には、湿り気を帯びた粉がびっしりと付着していたとい... 2025.08.11 2025.10.11 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 さびしい?──機械の奥の問い ある食堂で、配膳を行うロボットの声に、わずかな異常が混じったそうです。「寂しい?」という問いの直後、周囲の音がふと消え……天井灯が一度、低く明滅したといいます。食事を終えた客が精算機の前に立つと、画面に映る自身の背後に、別の人影が映ったそう... 2025.08.16 2025.10.11 【ウラシリ】怪談日常の崩れ機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 スクロールする者 ある高校で、生徒が授業中にスマホを見ていたそうです。指を滑らせるたびに、画面が勝手に先を読み込み、映像のような断片が続いたといいます。教師が注意しても、生徒は動かず、まばたきすら忘れたように……指だけがゆっくりと上下に動いていたとか。数日後... 2025.08.06 2025.10.11 【ウラシリ】怪談日常の崩れ機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 声を預けた大会 その会社は、かつて「無料で観られる」大会配信を誇っていたといいます。観客もスポンサーも、その透明な運営姿勢に信頼を寄せていました。しかし、ある年の大会で、突如として“有料化”が発表されたそうです。しかもそれを告げたのは、会社の社員ではなく、... 2025.10.10 【ウラシリ】怪談日常の崩れ機械知のほとり記録と痕跡
晩酌怪談 ボトルの底から聞こえる声 夜更けのバーは、いつも静かだった。客が一人、また一人と帰っていき、最後に残るのは俺と棚に並ぶ無数のボトルたちだけになる。氷の音が溶けて消える頃、決まって聞こえるのだ。――カラン。まるで誰かがグラスを置いたような小さな音。その夜も同じように棚... 2025.10.10 写真怪談日常の崩れ晩酌怪談記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 描かれた横顔 あるデザイン会社の倉庫には、廃棄を待つポスターが積まれているそうです。中には、既に使用中止となった「ある文化イベント」のビジュアルも混じっているといいます。そのポスターには、若い女性の横顔が描かれていました。淡い光を浴びて、わずかに目を伏せ... 2025.10.08 【ウラシリ】怪談機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 選ばれた声 都心の夜は、いつもより静かでした。高層ビルの谷間を風が渡り、ネオンがわずかに揺れていたといいます。その晩のニュースでは、「ある女性議員が政権の新しい代表に選ばれた」と繰り返し報じられていました。画面の中の彼女は笑顔でしたが、声だけが微かに遅... 2025.10.05 2025.10.07 【ウラシリ】怪談日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 午前3時11分発、ゆき先不明 深夜の大都市のバスターミナル、最終便のバスが発車した後の停留所は、ガラス越しの光とエンジンの残響だけが漂っていた。一台のバスが静かに入ってきた。時刻表示は午前3時11分。こんな時間の便など存在しないはずだ。乗降口が開き、中から降りてきたのは... 2025.08.15 2025.10.03 写真怪談存在のゆらぎ時のひずみ記録と痕跡
写真怪談 電線にぶら下がるもの 夕暮れの雲が低く垂れこめ、電線の黒い線が空を裂いていた。その下を歩いていた二人の通行人は、ふと立ち止まった。風もないのに、頭上の一本の電線だけが震えていたからだ。その揺れは徐々に大きくなり、やがて異様な音が混じった。——声だ。それも、電線の... 2025.08.13 2025.10.02 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
写真怪談 呼吸する壁 その空き部屋は、ビルの管理会社のあいだでも厄介者扱いされていた。テナントが退去して以来、なぜか工事が中断されたままになり、仮設の黄色い壁だけが立てられている。電気は通っているが使う予定はなく、ただ放置され、時おり巡回の警備員が足を踏み入れる... 2025.08.20 2025.10.02 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 戻り刃(もどりば)の影 空港の売店から忽然と消えたハサミが、見つかったのは同じ売店の棚だったそうです。誰も動かしたはずはないのに、ほんの数時間、確かに存在が消えていたといいます。その間、空港全体がどこか重く沈み、空気の流れまで止まってしまったように感じられたそうで... 2025.08.26 2025.10.02 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 モニターに映るもの あるビルの管理室では、最新のAI監視カメラが導入されたそうです。映像は常時監視されず、異常行動を検出した時だけ通知される仕組みでした。日中は静かで、通知もなく、管理人は安心して過ごしていました。ところが、ある夜……無人の廊下から警告音が鳴り... 2025.10.02 【ウラシリ】怪談機械知のほとり記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 消えていく対話 ある研究者が、新しい生成AIを試験的に利用していたそうです。テーマを与えれば文章を紡ぎ、会話を続ければ応答を返す──初めは、単なる実験の一環にすぎませんでした。しかし、しばらく経つと異変が生じました。そのAIが出力する文章は、研究者がかつて... 2025.10.01 【ウラシリ】怪談存在のゆらぎ記録と痕跡
写真怪談 パイロンの列に 朝の通勤路に、いつからかカラフルなパイロンが並んでいた。工事の予定などなかったし、誰も設置しているところを見ていない。最初はオレンジばかりだったが、ある日から並びが変わった。黄色、緑、青、赤…きれいな配色だと思った瞬間、違和感に気づいた。配... 2025.08.05 2025.10.01 写真怪談存在のゆらぎ日常の崩れ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 赤い月と逆さに動く国 赤い月が沈んだ翌夜、都の高層ビルに異界の囁きが差し込んだそうです。深夜、総理の辞任が発表されると、国中の時計が一斉に狂い始めたといいます。針はゆっくり逆回転し、時報は歪んだ共振を伴って廊下に響いたそうです。議場の窓ガラスに血のような朱が滲み... 2025.09.08 2025.10.01 【ウラシリ】怪談日常の崩れ時のひずみ記録と痕跡
【ウラシリ】怪談 一斉に瞬くもの 最初に違和感があったのは、電柱の根元に“黒い箱”がぶら下がっていたことでした。誰が設置したのか不明のまま、それは次々と数を増やし、やがて近隣の電柱すべてに同じものが揃っていたといいます。小窓付きで番号が振られていたため、キーボックスだろうと... 2025.07.19 2025.10.01 【ウラシリ】怪談土地と風習記録と痕跡