機械知のほとり

写真怪談

緑道の架線に吊る赤

川と車両基地の間の緑道で、赤い「停止」がこちらに向いていることに気づいた夜から、影が遅れて動きはじめた。
写真怪談

照明列の欠け目

開演直前、白いスモークに飲まれた会場で「照明の列」だけが、数を変えはじめる。
写真怪談

防音壁の継ぎ目

左右の防音壁に挟まれた無人のランプで、検知ログだけが“通過”を刻み続けた──消えたのは車か、それとも記録か。
写真怪談

押ボタン式の誤差

青空の交差点で「押す」たびに、渡るはずの線が一本ずつ減っていく──銀色フェンスの向こうで、何が吊られているのか。
写真怪談

七番打席のぬるい缶

開場前の無人の打席で、ぬるい缶だけが現実の温度を裏切る――七番打席に戻れない“最後の一分”の話。
ウラシリ怪談

五番窓口の北

案内どおり進んだ先に“無いはずの窓口”があると言われています…
写真怪談

靴だけ

休憩に入った瞬間だけ、トラックの下に“靴だけ”が立つ──畑の匂いを連れて、境界のほうへ一歩ずつ近づいてくる。
晩酌怪談

二度目の正午

冬の正午、空っぽのテラス席にだけ“夕方の賑わい”が滲み出す——その路地は、同じ時間を二度目として差し出してくる。
写真怪談

影が先に青になる

昼の横断歩道で、影だけが信号より先に“青”になる──その一拍に足を預けた人から、白線の下へ消えていった。
ウラシリ怪談

二十二秒の戻り道

二十二秒だけ欠ける運転ログがあり…バスは“戻る”ことを覚えたようです…
写真怪談

住んでいる家

人が住んでいるはずの古い家——けれど、窓の曇りの向こうで「生活」が増えていくのを見てしまったら、あなたは確かめずにいられますか。
写真怪談

硬貨専用

人通りのない農園の販売機なのに、商品だけが「いつの間にか」売り切れていく——硬貨専用の扉の向こうで、誰が何を買っているのか。
写真怪談

昼の縫い目

昼の工事現場で、忘れたふりをしていた“明け方の恐怖”が静かに蘇る。
ウラシリ怪談

地面の人数

見ないで測れるはずの地面が…夜になると“見えない人数”を数え始めたそうです…
写真怪談

カッ、と光る緑

雪の駅前、信号のリズムの隙間に混じる「カッ」。その瞬間だけ緑が滲み、背中だけが一拍遅れて残る——気づいた人から“現像”されていく。
ウラシリ怪談

錨の先の通話

海の底で切れたのは回線だけではなかったようです...
ウラシリ怪談

七時十八分の道路影響

帰省前に確認したはずが、時刻のほうに先に確認されてしまったようです…
ウラシリ怪談

十二枚の無難

無難な十二枚に戻るだけの仕組みが、こちら側を“無難”に整え始めたらしいのです…