日常の崩れ

写真怪談

安全第一の灯

夕方の晴れ空の下、封鎖された団地の入口だけが“夜”になっていた――「安全第一」の灯りが、帰る場所を決めてしまう前に。
写真怪談

近道々

年末の露店通り、「駅近道→」の下を進むたび、案内の文字だけが増えていく。
写真怪談

逆向きの踏切は、終電のあとに開く

終電後の近道で、逆向きの踏切に入った――“向こう側”は、道ではなく順番待ちだった。
ウラシリ怪談

十二枚の無難

無難な十二枚に戻るだけの仕組みが、こちら側を“無難”に整え始めたらしいのです…
晩酌怪談

相席の締め

相席に通された席で、すでに潰れていた見知らぬ客——その「締め」だけが、なぜかこちらに回ってきた。
写真怪談

空席のベランダ

昼間のベランダに置かれた“空席”は、誰かを待っているのではなく——次の名前を決めている。
写真怪談

宛名のないプレゼント

クリスマスが終わる頃、駅前のプレゼント箱に“宛名”が浮かぶ夜がある。読んだ人は少し楽になって、代わりに何かを忘れていく。
ウラシリ怪談

スカスカの脚

「特別価格」の電話は切れるのに…空洞だけが増えていくらしく…
晩酌怪談

赤丸の値札が消えない夕方

十二月の午後四時、居酒屋の軒先で“数え直せない”ものが増えていく——赤丸のメニューが滲むとき、棚の並びも変わりはじめる。
写真怪談

赤くならない扉

帰省シーズンの昼、なぜか空きだらけのロッカー列で“赤くならない扉”だけが息をしていた。
写真怪談

植え込みの青い星が数える

クリスマスの植え込みに這う青い光――その点滅が「戻ってこなかった数」を覚えているとしたら。
ウラシリ怪談

灯りのないツリー

熱源のないツリーが燃えた夜…翌朝の庭には十一個だけ飾りが戻っていたそうです…
写真怪談

網目の出口と青いダウン

雨上がりの明け方、公園の出口にだけ“横断できない道路”が現れる——石畳の網目に引っかかった足跡は、青いダウンに剥がされていく。
写真怪談

緑道に積まれた“屋根”

住宅地のはずの緑道だけが、妙に“屋内”の匂いをしていた――柵の向こうの水面に映るはずのない屋根を見た夜から、天井が少しずつ低くなる。
写真怪談

搬出の赤い札

伐採直後の河岸、柵の向こうの丸太に巻かれたはずの“搬出の札”が、いつの間にか境界を越えてこちら側へ――赤い目印が、あなたの影に遅れて追従し始める。
ウラシリ怪談

燃えた連絡バスの警告音

燃え尽きたはずの空港連絡バスから…警告音だけが帰ってくるそうです…
ウラシリ怪談

下りたままの踏切

下りた踏切が鳴らしていたのは警報ではなく、町の中へ入る順番だったのかもしれません…
写真怪談

境界柵の規程

夕暮れの交差点で、許可と禁止の標識が“あなたの枠”を少しずつ削っていく——黒い柵の向こうに、規程の影が立つ。