日常の崩れ

ウラシリ怪談

七日間の間口

駅のロッカーで“予約していない一冊”が七日間だけ混ざり続け、最後に白い封筒が残ったそうです。
ウラシリ怪談

熱を売る自販機

寒いのに行列ができる“昭和の自販機”――みそ汁の湯気が、上へ昇らない日があったそうです。
写真怪談

爪跡の残る石

資材置き場の片隅、石に残った爪跡が“数の狂い”を告げる——見下ろすカエルは、何を数えているのか。
写真怪談

継ぎ目へ続く通路

黒い外壁に挟まれた裏通路の点検写真――ただそれだけのはずが、画面の中の道は「次の瞬間」から伸び始めた。
ウラシリ怪談

玄関がまだ外だった

「裏から見ても同じに読める」札を玄関に掛けた家で、境目そのものが迷いはじめた――そんな噂です。
ウラシリ怪談

鉄の匂いが戻る夜

受付で言った“決まり文句”が、家の中で増殖していく——鉄の匂いと一緒に。
ウラシリ怪談

今日が終わらない見守り

電池交換が要らなくなった見守りは、亡くなったあとも“いつもの一日”を報告し続けたそうです。
写真怪談

消したはずの渦

住宅地の外れの角にある“程度の低い落書き”は、見るたびに少しずつ形を変えていった。
写真怪談

花壇の黒い輪

珍しく雪が降った翌日の公園、花壇を区切る黒いロープを見た夕方から、手首にだけ“輪”が残りはじめた。
写真怪談

席は窓際

閉店したはずのショーウィンドウが、内側から曇る夜がある——短冊の「本日おすすめ」が、なぜかあなたの席を決めてしまう。
ウラシリ怪談

支払方法:空白

閉店中のはずの無人店舗で、回収しても回収しても“空白のレシート”だけが増えていくそうです……。
ウラシリ怪談

三月末に“正式に”なるもの

公園に立った“柱”の隣には、縦長の大きな画面がありました――そこに浮かんだのは、案内ではなく「目次」でした。
ウラシリ怪談

二枚目の白紙

投票所で「二枚目」を受け取った人がいた――その一枚は、返しても返しても、なぜか残り続けたそうです。
写真怪談

緑の金網に残る白

雪の昼、緑道のフェンス越しに見上げた焼けたアパート――画面の中だけが先に“季節をずらし”、消せない一枚になっていく。
写真怪談

寺院通3番の着信

珍しく雪が積もった都内の昼下がり、「寺院通3番」で鳴ったはずのない着信。ガラスの“内側”に触れた瞬間、街角の静けさが形を変えはじめる。
写真怪談

蔦壁の結び目

蔦に覆われた外壁と、頭上を縫う電線——毎朝見ていた路地で、空が「欠けはじめる」。
ウラシリ怪談

六分おきの潮

吹雪の夜、避難所の非常口から“潮”が六分おきに入ってきたそうです…
写真怪談

黄色いリベットと「Hello」

都内の高架下、黄黒の橋脚に貼られた「Hello my name is」だけが、なぜかいつも新しい――その理由に気づいた夜から、呼ばれるはずの名前が消え始めた。