畑の隅で収穫された秋ナスは、どれも白くぼやけていたそうです。
紫の艶を失った実は、影だけが濃く残り、並ぶ姿は不気味に沈んでいたといいます……。
農家が一つを手に取ると、指の跡が沈み込み、跡はいつまでも消えなかったそうです。
翌朝、その跡は人の顔のように歪み、口を開けた影となっていたといいます。
やがて箱に詰められたナスは、一晩のうちに数を減らし、畑に戻ると足跡だけが土に残っていたそうです。
誰のものとも分からぬその足跡は、畑の外へは続かず、畝の間で消えていたといいます……。
最後に見つかったのは、倉庫の床に広がる黒い染みだけでした。
それが溶けた実なのか、人影の名残なのか……誰も確かめていないそうです。
この怪談は、以下のニュース記事をきっかけに生成されたフィクションです。
秋ナスが「ぼけナス」に 記録的な猛暑で異変
秋ナスが「ぼけナス」に 記録的な猛暑で異変【徳島】 - ライブドアニュース記録的な猛暑で、徳島県阿波市の秋ナスに異変が起きているという。水不足の影響で外側の色が薄くなる「ぼけナス」になっているそう。ナスづくり10年の農家でも「正解が読めない」と頭を悩ませている